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「絶対に知られたくない!」 都合の悪いことを隠すために必要なこととは【なれのはて】加藤シゲアキ著

ファンの人ごめんなさい!
彼のことは、アイドルグループに所属してるというイメージしかありません。
本を出したことは知っていましたが、
読むのは今回が初めてです。

却って彼のことを知らないので、
「芸能人」という色眼鏡がない状態で読めました。
物語の規模が大きく、アイドル活動をしながら
よくここまでの作品を書けたものかと感心しました。

この話は「ある一枚の絵で展示会ができないか」という話から始まります。
企画を提案するのはイベント事業部の吾妻。
主人公の守谷は彼女と一緒に行動をします。

絵を使う以上、著作権者を調べないといけません。
その過程で思わぬ事実が次々に判明します。

知られたくないから隠そうとする人間と、
真実を明らかにしようと調べる人間の
攻防戦が繰り広げられます。


・隠そうとする人間その1

まず最初に取り上げるのは猪俣輝氏。
彼は秋田県にある猪俣石油化学株式会社の社長です。

調べる過程で、絵にサインがしてあった「ISAMU INOMATA」は彼の叔父であることが分かりました。
相続人を調べても、輝しかいません。

絵を使いたいため、彼に使わせてもらえないか
お願いしますが、断られます。
それどころか「1億円で絵を買い取る」
提案してきました。

「そんな大金を払ってまで、一体何を隠しているんだろうか」と思いながら読み進めました。

・隠そうとする人間その2

主人公守谷の勤務先JBCの上層部です。
JBCは大手マスメディアです。

守谷はかつての上司であった小笠原と調べた
盗作疑惑を報じようとしました。
国のPRデザインと似たデザインのものを
中国で見つけたからです。

盗作疑惑を報じようとしたら
上層部からストップがかかりました。

最終的にもみ消されて、
守谷は左遷という形で
イベント事業部に異動しました。

小笠原は退職の後、病でこの世を去りました。

・真実を明らかにしようとする人間

必死になって隠そうとする人間がいる一方、
主人公の守谷と吾妻は、イベントを企画するために画家について調べます。

その過程で秋田県警の長谷川、
秋田県立博物館館長の田所など
協力者が現れます。

長谷川は、守谷の元上司である小笠原と
親交が深かった人物です。
彼も彼で、猪俣家に関して知りたいことがあったので協力を惜しみませんでした。

・感想

同じ隠す人間でも、
何のために真実を隠しているかは全く違いました。

輝は大切な人を守るために、
上層部は保身のため、
そんな構図が浮かび上がりました。

どちらちせよ、
隠し続けるのは簡単ではありません。
金と権力があるから可能なことです。

輝は大きな会社の社長、
上層部は、社会的に影響の大きいマスメディアの会社役員です。
経営しているか、雇われているかの違いはあれど
一般の人に比べて、金も権力もあるのは間違いありません。

この構図から、今話題の
自民党議員の政治資金問題を彷彿とさせました。

彼らは金も権力もあります。
都合の悪いことを隠し続けることくらい
そう難しくないと感じました。

戦前から現代まで、時を越えた話でしたが、
現代社会の問題を浮き上がらせた作品と思いました。

以上、ちえでした。
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