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「なぜ彼らはこんな赤裸々な話したのか」相手がつい話したくなるすごい会話術とは【悪魔の傾聴】中村淳彦著

「よくこの人たちはここまで話をしたものだ」

『職業としてのAV女優』、『東京貧困女子』を読んで「取材相手もよくここまで話したよねぇ」と驚かされました。

著者である中村淳彦氏が、いかにして話を引き出したかがわかる内容です。
本当に悪魔みたいな手段と怖さも感じました。


・やってはいけないHHJ

「否定する」「比較する」「自分の話をする」
これらのローマ字の頭文字をとってます。

よほど意識していないと、どれもやってしまいがちです。

「○○しなきゃダメでしょ」と否定された時点で、相手は話をやめてしまいます。
「私があなたくらいのときは…」と比較された時には、「ハイハイ」とウンザリしていることでしょう。
気がついたら、相手の話を自分の話にすり替えてしまいます。

これをしないだけでも、話をしてもらえる可能性が上がると感じました。

・医療職の私こそ必要かも

「命を粗末にするようなことをしてはいけません」
「もっと自分を大切にしなきゃ」

支援の必要な相手に対して、説教しがちです。
そんなの話し手は重々わかっているんです。
ウンザリするのが目に見えてます。

薬剤師は、「医師にも話したのに、なぜ薬局で一から話さなきゃいけないんだ、鬱陶しい!とっとと薬だけよこせ!」と不満をぶつけられるのが日常です。

説教なんてしたら…完全にシャットアウトされます。
そうなったらどうにもなりません。
いかに話をしてもらえるかが大切です。

余談ですが、乳幼児健診で相談を受ける保健師に心がけてほしいと思います。

「悩んでるから相談したのに、まるで学校の先生に怒られたかのような気分」
こんなことを嫌というほど味わいました。

他のママ友に話したらほとんどの人が、多かれ少なかれ経験していました。
情報提供はパンフレットで十分だから、不安な気持ちを共感してほしいと思います。

自治体の健診で不快な思いをした人は、わざわざ自費で小児科に健診をしてもらうとのことです。

・欲望の断捨離

「困っている人を助けてあげたい」も欲望。
これには驚きました。

特に福祉や医療系の仕事の人にありがちです。
私も医療職なので、この気持ちよくわかります。

私のような薬剤師でなく、医師や看護師でも「病気の人を助けてあげたい」という気持ちを持っていると思います。

「悪魔の傾聴」では、この気持ちが邪魔になると指摘。
聞き手の欲望が大きいと、相手の語りに制限がかかるので、本音を導くのが難しくなるとのことでした。

・感想

「確かに聞き手がこの態度なら話してしまいそう」

著者が取材に来たらペラペラ話してしまいそうです。そのくらい強力さを感じました。
取材相手の強烈なエピソードのせいか「この方法は強すぎる」と評価する人もいました。

確かに「この人と話をすると疲れる」と思うパターンは、HHJ全部制覇していることも珍しくありません。
「これをされたら、会話をやめたくなる」と気づきました。

薬局で働いていたときは、「できるだけ話を聞きたい」と思ってました。
しかし、患者さんが多いときはどんどん次の人の対応をしないといけなかったので、葛藤を感じてました。

こちらは傾聴がテーマですが、薬剤師だと話を聞くのと同時に、患者さんに伝えないといけないこともあります。
それでも、会話ができる状態であるのが前提ですよね。

以上、ちえでした。
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