睡眠を哲学する【自動起床装置】辺見庸著
「安らかに眠り、心地よく目覚める」
それがどれだけ難しいのかを
利用者を見て感じました。
30年前の本ですが、
睡眠の問題は今も変わらないと実感。
・タイトルから予想
著者が元共同通信社の記者だったため、
自動起床装置で起こされる
通信社の社員からの目線で
話が展開していると想像。
・実際の話
物語の目線は、
「起こし屋」のアルバイトの青年の話。
宿直者を指定された時間通りに起こす仕事です。
今はもうなさそうですが、
30年前はあったようです。
先輩アルバイトの聡から仕事を教えてもらいます。
心地よく目覚めてもらうのは難しいと
主人公は実感。
人によって起きる時間もそれぞれ違います。
聡はしばしば、
「ここの人間は睡眠を軽く考えすぎているんだよ」と言います。
ある日「自動覚醒機とか言う最新装置を買うらしいよ」と別の日のアルバイトの人から聞く主人公。
聡は拒否反応を示します。
会社からは機械を導入してすぐに
アルバイトを解雇する予定はないとのことでした。
しかし、徐々に人員を削減することを示唆。
・感想
「機械が人間に質のいい眠りをもたらすことができるのか」
作中で主人公と聡が実験して
「こりゃだめだ」と言っていたのが印象的でした。
心地よく起きれなかったそうです。
確かに自動起床装置は実際に存在します。
実際にJRの要請で作った会社があるそうです。
その後、著者の元勤務先である
共同通信社にも入ったそうです。
起こし屋のバイトをしている時、
二段ベッド上下に
上司と部下が寝ていた時があります。
上司が寝言で「例のものを出せ」、
部下が「はい、こちらです」と
寝言で応じていたのに驚き。
その例の物はそこに存在しないのにもかかわらず、寝言で会話が成り立っていました。
中には悪夢にうなされている人も出てきました。
眠りを軽視することで、
神様が悪夢を見させたり、寝言を言わせたりすることで仕返しをしてるんじゃないかと聡。
悪夢や寝言についてそういう視点で見たことがありませんでした。
機械は便利だけど、
睡眠のシステムを制することはできるのか疑問。
樺沢先生の本に出会ってから
睡眠の質について考えるようになりました。
先生のSNSやYouTubeを見ますが、
まだまだわからないことがあると実感。
「今も昔も睡眠の質を保つのは難しい」と
改めて考えさせられました。
以上、ちえでした。
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