元の生活はいつの話?【荒れ地の家族】
「大切な人に気持ちを伝えられていない」
「うまくいきそうな時に足下からひっくり返される」
登場人物の様子を見て、そう感じました。
・コミュニケーションが成り立ってない。
主人公坂井祐治についてこう感じました。
最初の妻の晴海に対しても、
次の妻の星知加子に対しても「上手くコミュニケーションがとれてない」と感じました。
晴海については、近所の老婆の通院に付き合ってる様子を見て、勝手に断りを入れました。
晴海は自分の意志で付き合ってるのに、
「無理矢理させられてる」と決めつけました。
職場への伝言も一切拒否されてる
星知加子については、
「一緒に過ごす時間がほしい」という気持ちが、
祐治に届かなかったようです。
祐治は、「自分が一生懸命働いたら、家族は幸せになれる」と思っているかのようです。
お互いの想いが伝わってないと感じました。
・元の生活とは
「言われてみれば…」と気づかされました。
戦争や紛争で故郷を追われた人、
地震、豪雨など自然災害に遭った人、
原発事故で故郷に帰れなくなった人…。
共通してるのは、元の生活と今の生活が違うことてす。
その元の生活も、同じ人でも
いつの時点によって全く違うものになると
気づかされました。
・感想
芥川賞受賞作品です。読後感が重たいです。
作品自体も、重厚な印象を受けました。
著者は仙台在住。
「震災の風化にささやかな抵抗」と
インタビューで言ってました。
その言葉通り、「忘れられたくない」と
しがみつかれてるかのように感じました。
震災後から10年以上経った今も、
彼らの生活に影を落としているのを感じました。
震災で直接家族を失ったわけでもないのに、
虚無感がありました。
以上、ちえでした。
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