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クリエイティブな薬剤師像を考える回【ロボット薬局】渡部正之著

「まぁ、そうなるよね」

調剤業務をロボットに任せるという発想に
違和感がありませんでした。
そう思ったきっかけは、
結婚前まで働いてた職場の話です。

今では調剤補助について、はっきり見解が出てますが、当時の職場では、薬を取り揃えるのは薬剤師以外の職員もやってました。

正直なところ、薬剤師と他のスタッフで
調剤ミスの頻度は
あまり変わらないように感じました。

この当時はまだ「調剤は薬剤師の特権。他の職業の人間がやるなんて言語道断」という時代でした。
しかし、私はこの頃から
調剤しかできない薬剤師は、遅かれ早かれ淘汰される」と未来予測をしてました。
まさにその仮説が当たったかのような内容でした。


気づき1.ロボット導入によるメリットは大きい

2019年に調剤補助のルールは制定されました。
確かに補助の人がいれば薬剤師の業務負担が軽くなります。しかし所詮働いてるのは人間なので、限界が来ます。
ロボットは疲れることがないのが強みです。

単純作業の調剤をロボットに任せて、
薬剤師は在宅医療や健康相談など
対人業務に専念できると著者同様に考えました。

この考え方に触れて、
10月に出席した卒後講座を思い出しました。
講演者は母校の大学病院で、
薬剤部長をやってる先生。

外来は院外処方。
経営状況改善のために人員は減らされているのに、
業務量はどんどん増えているという状況。
育児中で時短の勤務者も多く、
今後男性職員も育休を取ると見込まれています。

これだけ人員が限られている中、
残業時間は次第に減っているそうです。
なぜこんなに新たな業務に挑戦できているかというと、「外来患者の処方箋を院外にした」からだそうです。

まだロボット薬局は一般的ではありません。
仮に大学病院などの薬剤部に導入したら
病院薬剤師はもっと病棟業務や処方提案などに
もっと専念できるようになるのではないかと感じました。

気づき2.服薬指導にAIが導入

現時点では分かりませんが、
ビッグデータを集めて、
副作用や飲み合わせの薬などを
確認する指示が出てきそうです。

確かに処方内容から、AIでも服薬指導ができるようになるかもしれません。
しかし、患者さんに薬を飲ませることはできません。飲むかどうかは患者さん次第です。

患者さん自身の意欲を高めるのは、
従来どおり薬剤師の力量に左右されると考えます。

気づき3.身内で対立してる場合ではない

日本にはいくつかの薬局、薬剤師などの団体があります。薬剤師の職能団体である日本薬剤師会や大手調剤チェーンの団体である日本保険薬局協会、さらにドラッグストアの団体である日本チェーンドラッグストア協会、一般用医薬品の販売だけに限っていえば、日本医薬品登録販売者協会などもあります。
(中略)
これらの業界はもちろん、同じ業種に身をおく団体として時に一致団結して協力体制を取ることもあります。しかし、個人経営や中小規模の薬局と大規模チェーンの薬局では、経営スタンスや調剤報酬に対する姿勢などが大きく異なることが少なくありません。そのため日本の薬局業界には昔からチェーン薬局同士の縄張り争いや、日本薬剤師会と日本保険薬局協会との対立構造などが存在します。

ロボット薬局 p41-42

日本薬剤師会は馴染みがありますが、
他の団体については知りませんでした。

確かに立場によって考え方は
大きく変わるのはわかります。
しかし、現状がわかればわかるほど、
薬剤師や薬局で内輪揉めしてる場合ではないと
改めて感じます。

Todo1.Amazon参入による影響を調べる。

過去にAmazonの日本上陸で、
たくさんの本屋さんが閉店したのを見ました。
ニュースによると、Amazon薬局が来年から始まり、
中小の薬局と連携するとのことです。

このニュースに対して、
多くの薬局経営者は危機感を募らせてました。
「情報を集めるだけ集めたら、バッサリ切り捨てるだろう」と考えているようです。

今のところAmazon薬局の仕組みが日本国内でどうなるのか予測できないため、どう評価したらいいのかがわかりません。

ある程度、未来予測する材料として、
以下を調べて考察します。

・Amazonがここまで会社が大きくなった経緯
・他社、他業種にどんな影響があったのか

Todo2.服薬指導をどこまでAIに任せられるのか考える。

本書内ではあまり触れられていませんが、
服薬指導にAIが導入されることに興味を持ちました。
おそらく薬の飲み合わせ、副作用などは
ある程度カバーできると考えてます。

しかし、AI 上では同じ指示が出ても
患者さんとの会話が全く変わってくるケースがあると考えました。

(例)
ある2人の糖尿病の患者がいます。
2人とも薬の内容は同じです。
違うのは一人は現在の状況を把握し、今後治療を前向きに取り込もうと考えてます。

一方、もう一人の患者は、
「そもそも薬を飲む必要はあるのか」
「特に症状も出てないのに、何で病院に行かなきゃいけないのか」と必要性を感じていません。

AIで出てくる内容は、ほとんど変わらないでしょう。
しかし、治療に取り組むつもりの人と、
必要性を理解してもらわないといけない段階の人が
同じ内容でいいとは思えません。

この辺のさじ加減は、
現時点でAI にできないと考えてます。
「どれだけ動機付けできるのか」
「患者さんとコミュニケーションが取れるのか」
今後大きく差が出ると予想。

Todo3.クリエイティブな薬剤師像を考える。

「超高齢社会を乗り切るためには、
全ての医療介護職がよりクリエイティブな仕事に
集中するしかない」

著者はそう主張します。私も同意です。

クリエイティブな仕事が必須なのは
言うまでもありません。
そもそも薬剤師にとってクリエイティブな仕事って何だろうと考えました。

働いてた時、クリエイティブさを発揮できていると感じた出来事を思い出しました。

(例)
ある女性の患者さんの事例。
処方されていたのは脂質異常症の薬です。

患者さんの話をよく聞いたら
「今日を検査したらよくなってると言われました。実はね〇〇というお薬を✕錠飲んでました」

患者さんの今回の処方内容とは違い、
薬歴で調べたら以前飲んでいたお薬でした。
しかし、一日の量がこのときより少なかったです。

「この内容で改善してるなら、医師に問い合わせて処方変更してもらった方がいいのではないか」
私はそう考えたため、患者さんに提案。

しかし「お手間をかけるのでいいです」と断られてしまいました。その時は処方箋の通りお渡ししました。

このあと私は、処方医宛に、
このやり取りのことを報告しました。

次に同じ患者さんが来た時の処方内容を見たら、
私の報告の内容が反映されていました。
「薬剤師らしい仕事ができた」と実感できた出来事です。

この事例のように「こうしたらいいのにな」と
自発的に考えて仕事をすると充実感があると気づき。

今後私たちはこういう仕事をしていかないと
「薬剤師って必要なのか」と
国民に問われても
おかしくないと危機感を覚えました。

・感想

「なぜ私は産休育休も取らずやめたんだろうか」

他の同業者のママ友を見て、我ながら疑問に思ってました。その決断をしたのは自分自身なのにも関わらずです。

その時に、仕事をしていて充実を感じていた時と、
そうでない時の内容を思い出しました。

充実感を感じていたのは、上記の事例のように
「医師に処方提案ができた」
「こちらの情報提供で患者さんや他の医療・介護スタッフに安心してもらえた」など、
対人業務がほとんどでした。
クリエイティブな仕事と通ずるものがあります。

それに対して充実感を感じなかった時は、
棚卸しなどひたすら単純作業をしていた時です。
まさに調剤ロボットは、私が充実感を感じられない仕事を引き受けていると気づきました。

私が仕事をしていたのは、2017年12月まで。
その後、3回の調剤報酬改定がありました。

詳しくは見ていないものの、薬剤師に求められているのは在宅医療、健康、相談などの対人業務です。薬を出すだけの調剤業務は重きを置かれていないと感じました。

服薬指導もAIがある程度補助するようになるので、薬の知識だけしか持っていない薬剤師は、
AIの品質に負けてしまうと感じました。

たくさんの患者さんを見てきましたが、
通院したくて薬局に来てる人は少数です。

生活習慣病の人は、食事や運動など行動を変えないといけないので、辛くなることもあります。
そういう人たちの心情を汲み取れないと、「AIで十分」と言われても反論できません。
もっと人間について学ばないといけないと
改めて感じました。

以上、ちえでした。
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