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読むだけで、ニオイが漂ってくる話【浮き身】鈴木涼美著
タバコの煙で、19年前の出来事を思い出す主人公。
当時大学生でした。
この頃はまだコロナ禍と想定。
少なくとも、2023年3月13日に
マスクが任意になる前の話と思われます。
不織布をずらしたら、タバコの臭いがしたとありました。
その臭いから、
退廃的だった19年前のことを思い出しています。
読者として読んでいるだけの私まで、
ニオイを感じました。
・嗅覚に関する表現が目立つ
ニオイに関する表現は
タバコだけではありません。
お酒のニオイ、飲み過ぎて吐いた吐瀉物の臭い、
誰かがつけていたフランス製の香水など。
「これでもか!?」というくらい
嗅覚に関する単語が目立ちます。
ニオイから一緒に過ごした人や
その人たちとの間に起こった出来事を思い出しています。
なぜこれほどニオイで
昔のことを思い出すのでしょうか。
・嗅覚と記憶の関係
「嗅覚と記憶の関係はどこまでわかっているのだろうか」
読んでいて疑問に思いました。
実際どこまでわかっているのか調べてみたら、
こちらのサイトをみつけました。
嗅細胞でキャッチされた匂いの情報は,脳へと直接に連絡します。この脳の部分を嗅球といいます.嗅球からは嗅皮質さらに眼窩前頭皮質へと連絡されて匂いが認識されます.嗅皮質からは海馬という記憶に関わる領域にも連絡します。扁桃体という感情に関わる領域にも連絡します.匂いによって瞬時に記憶が蘇ったり,感情が動かされたりするのは,匂いの情報が直ぐに脳に達して,海馬や扁桃体へと連絡するためと考えられています.
「嗅覚と記憶はここまで繋がっているのか」と驚かされました。
・感想
物語に登場する出てくるニオイは
タバコを筆頭に苦手な物ばかりでした。
元々喘息を持っているため、煙が苦手です。
うっかり吸うと発作が出ます。
今でこそ電子タバコがあるものの、
子どもの頃は「タバコ=煙」というくらい身近でした。
お酒のニオイもそこまで心地よく感じません。
学生時代、酒癖の悪い人が身近にいたので、
臭いを感じることはありました。
時々なので目をつぶれたけど、
常時臭うのは辛いです。
吐瀉物については、
息子たちの嘔吐下痢で散々処理したので、
しばらく勘弁してほしいです。
香水ですが、以前一緒にライブに行った人から
強烈な臭いがしました。
サンプルならいい香りと思うものでした。
しかし、量が多すぎると害になると実感しました。
物語の舞台が開業前の無店舗型風俗店ですが、
私は居心地の悪さで居続けるのは難しいと感じました。
夜の世界の話は、物語の中だけで楽しみたいです。
以上、ちえでした。
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