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読書メモ:世界は経営でできている

基本情報

『世界は経営でできている』
岩尾俊平
2024年1月20日発行

妻が図書館の貸し出しの順番待ちを待てずに、買った本書。妻から勧められたわけではないが、ちょうどよい時間ができたので手に取った一冊。
以下を意識して「令和冷笑体エッセイ」であり、いわゆる今時の文体で書かれている。

令和の文化人を思い浮かべると、なぜかみんな冷笑系だと気付く。冷静に、論理的に、傍観者として社会を分析し冷笑する人が人気だ。

「世界は経営でできている」

構成

はじめに:日常は経営でできている
1 貧乏は経営でできている
2 家庭は経営でできている
3 恋愛は経営でできている
4 勉強は経営でできている
5 虚栄は経営でできている
6 心労は経営でできている
7 就活は経営でできている
8 仕事は経営でできている
9 憤怒は経営でできている
10 健康は経営でできている
11 孤独は経営でできている
12 老後は経営でできている
13 芸術は経営でできている
14 科学は経営でできている
15 歴史は経営でできている
おわりに:人生は経営でできている

感想

著者の岩尾さんは、「経営」を以下のように定義している。

本来の経営は「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を作り上げること」

「世界は経営でできている」

この「経営」の考え方をベースに身近な貧乏や家庭、仕事、健康等の事例を挙げて説明されている。

何かと二項対立で考えがちになってしまうが、そんな二項対立を著者は不毛と言い、「経営」することで解消し、共同体を作っていくことを試みている。

右か左かのような二つだけの選択肢を提示をされ、どちらかを選択するようなことは、生きていればたくさんある。
右の方にもメリット・デメリットがあり、当然左の方にもメリット・デメリットがあり、本当に選択肢は、二つしかなく、著者が提案するような対立を解消し、目的を達成できるような3つ目の案はないのだろうかということを感じる。
(とは言え、選挙のように現実的には選択肢が限られてしまうものもありすべてに当てはめらないが)

以前読んだ『ポピュリズム 世界を覆い尽くす「魔物」の正体』にもあったが、「敵か味方か」のようにわけて分断するのは非常にわかりやすく、また、盛り上がりやすい。

スポーツのような勝ち負けをつけるものならそれでもよいが、社会の多くの場面では、少しでも多くの人が納得し物事が決まっていくことだろうと思う。当然その過程では、時間もかかるし多くのコストもかかるし、限りもあるだろう。

本書の事例のようにそれでも日常の場面で、ふと立ち止まり価値創造型の「経営」を様々な場面で行うことで、より豊かな人生、決定ができると思う。

「令和冷笑体エッセイ」と言うだけになかなかに極端な例を挙げて、説明している箇所もあり、どこか文体に若さを感じ、気になり著者の岩尾さんを調べたら現在35歳で、私(現在39歳)より年下であった。

たかだか5歳の差ではあるが、しっかりと目標を持って(岩尾さんの場合、本を出版する)生きてこられたものを見せつけられ、刺激になった一冊であった。


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