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読書メモ:いのちの車窓から

基本情報

『いのちの車窓から』(文庫版)
星野源
2022年1月25日発行

今更説明も不要だとは思うが、音楽家、俳優、文筆家としても有名な星野源さんのエッセイである。
本作は、エッセイとしてはおそらく4冊目の文庫本(文庫用のあとがきが追加されている)であり、大病後、紅白初出場、「逃げるは恥だか役には立つ」撮影時頃までのことが書かれている。新垣結さんについても書かれており、結婚した今読むと当時から魅かれていたことが読み取れる。

感想

「エッセイ」ということもあり、飾らない人柄が文章からも滲みでており、非常に読んでいて心地よく、あっという間に読めた一冊であった。

大河ドラマの撮影期間中等深夜まで起きており、お腹が空いて蕎麦屋に行った話、ライブツアー中にゲームをして、うっかり朝方迄プレーした話等活動自体は、芸能人そのものだが、「行動」は本当に普通の人と変わらず改めて親近感がわいた。

音楽との出会い、細野晴臣さんとの出会いについても書かれているが、「奇跡的」ということがぴったりとはまるような出会い方であり、音楽が大好きだったところに幸運にも細野晴臣さんとの出会いがあり、導かれるようにライブに参加するなり、それこそドラマのような人生があったことがわかる。

また、寺坂直毅さんとの出会いも運命的である。
寺坂さんは星野源のオールナイトニッポンの構成作家として有名であるが、無類の紅白好き(歌唱前の前口上好き)であり、佐久間宣行さんのYouTube「佐久間宣行のNOBROCK TV」にも紅白の企画で呼ばれたいた。

寺坂さんとの出会いから紅白での約束に関して、さらっと書かれているが、星野源さんが「出会い」を大切にして過ごされているかよくわかるエピソードである。

本書には、記載はないが、オードリー若林さんとも付き合いは長く、お二人が売れる前の燻っている時代に、お笑いライブなどで面識があり、当時のやりとりを「あちこちオードリー」で話していた。
雑誌の対談で若林さんが当時高望みして空回りすることも多く「ある程度のことは諦めて、合ったことをやっていこう」という旨を答えた時に、その後の移動中に星野源さんは「僕は諦めませんよ」と言ったというエピソードが忘れられない。

このエッセイでは体調を崩されたこともあり、仕事量やペースに細心の注意を払いながらもこのような「諦めない」という星野源さんの太い芯が感じられる箇所が随所にあり、とても心に残る一冊であった。

(「僕は諦めませんよ」というエピソードの回は、今もハードディスクに保存しており、心が折れそうになる時に私も何度も見ている)



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