認知症と向き合うには『ポンコツ一家』から学ぶこと
『ポンコツ一家』
著者 にしおかすみこ
お笑い芸人・にしおかすみこの家族エッセイ
ポンコツ一家は、Webで連載が書籍化された本
普段は芸能人のエッセイなどはほとんど読まないけれど、なんとなく認知症の親の面倒をみている話が書いてあるということを知っていた。そして目に止まった表紙が可愛かった。
そんな理由で手にした本
家族紹介
うちは、
母、八十歳、認知症。
姉、四十七才、ダウン症。
父、八十一歳、酔っぱらい。
ついでに私は、元SM女王様キャラの一発屋の女芸人。四十五歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである。
ではじまる。
ここまでで、認知症の母だけでなく、姉のダウン症ということを知り、こりゃ大変だなと思わせられる。
東京で暮らしていた、すみ(母親がこのように読んでいるのでここからは著者のことをすみと表現)
コロナ禍で仕事がゼロになりマンションの家賃の18万円。そのまま住むには貯金も底をつく。そこで引っ越しすることになる。
そんなとき久しぶりに訪れた実家の衝撃的な状況を目の当たりする。
その表現が過ごすぎる。
昼間なのにカーテンが閉められ薄暗い部屋。
カップ麺や缶詰、茶色いお惣菜がこびりついたプラスチック容器
うちの中に砂ぼこりの舞う。絨毯のようふわふわの埃の塊 いわゆるちょっとゴミ屋敷
そして、今までとは違う母。
母と娘「すみ」の会話。
とにかく口が悪いふたりのやり取りが気になってしまうが母の返しが上手すぎて笑ってしまう。行動もぶっ飛んで感じる。
結果、そんな家族の面倒をみるべく二十年ぶりに一緒に住むことを決める。
「すみ」が余裕なく「ポンコツがポンコツの心配をしなきゃならない身にもなってよ」と怒鳴ることがあっても母、姉、父は誰のことを言っているか無自覚という現状。
そんな家族とのある日の日常
喧嘩をして家を飛び出し、夜中に戻ると
置いてあった母からの手紙
すみへ
わすれていることも、わすれたり、
言ったことも、わすれたり、
らいねんは、もっと、もっと
ひどくなるかもと思います。
それでも、お姉ちゃん(ダウン症の姉)が生きている間は
生きてやろうと思ってるので、
かんべんしてちょうだい。
めいわくかけます。
ごめんなさい ママより
娘への深い愛を感じてしまう。
そして、別の日の「すみ」
これからたくさんのことが出来なくなる人に、まだ出来ることを「やっちゃダメ」と言いたくないという気持ちとか
ときにこんな展開に涙💧
けっこう赤裸々に語られてはいるが、家族はどう思っているのか ちょっと心配になったけれど、そこら辺はしっかりと家族内で解決してるらしいので、ひと安心。
面白く、そして感動と、家族のあり方、アルツハイマー型認知症という進行性の病気はどんなものなのかを難しく考えずに読める1冊。
最後のおまけ
母が診察のときに生年月日をきかれ
「はい、令和2年 六月、えっと、何日だっけかな」と答えたときの「すみ」の心の声
それだと生まれたてのババァになる
ってところで(笑)
こんな感じで心の突っ込みが面白いよ
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