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バトンで繋ぐような物語『月曜日の抹茶カフェ』は大切なことに気がつかせてくれる本でした。
月曜日の抹茶カフェ
著者 青山美智子
最近ツイてないのは初詣に行ってないから?なんて思った美保が1月半ば神社へのお参りの帰り道。向かったのは居心地が良くて爽やかな好青年の店長がいて、インテリアやカップのセンスがすごくいい、コーヒーや膠着も美味しい小さなお店『マーブルカフェ』
口元までくるんだ赤いチェック柄のマフラーに自分の息がかかる。コートのポケットの中のかじかんだ手。お店の中で暖まろうと思ったが
カフェの庇が見えたところで月曜日が定休日であることを思い出す。
やっぱりツイていない。
そんなときベリーショートでアッシュブラウンに染めた髪の女性がドアを開けて出てくるのが見える(この彼女は別の章での主人公)
こちらに歩いてきた彼女に
「マーブルカフェ、お休みじゃないんですか」と聞くと「お休みだけどやってますよ」と教えてくれる。
ノブに手をかけようとしたときに目に留まったのが『マーブル・カフェ』と描かれたプレートが白いマスキングテープが貼られ「ーブル」→「ッチャ」に黒いマジックで書かれ
『マッチャ・カフェ』という文字
いつも店長がマスターとよんでいたおじさんがドアを開け顔を出し
「今日だけ、抹茶カフェなの、抹茶が嫌いじゃなかったら、どうぞ」と声をかけられ救われたような気持ちで店の中へ。
そんな風にして物語がはじまる。
ツイていない携帯ショップの店員、女性が苦手な茶屋問屋の若旦那、手作りのランジェリーショップを営む女性や婚約者と別れたばかりのシンガー、古本屋を主人、わずか1ヶ月の交際でフラれてしまった男子大学生など
ひとつひとつの物語がバトンでつなぐリレーのように進んでいく。
その中に出てくる言葉にちょっと泣かされる。
私の心に刻んでいる言葉に
「順繰り順繰り」というのがある。
恩を受けたその人に気持ちを返すのではなく、同じように自分が別の人に返していく
そう、じゅんぐりじゅぐりと。
例えば仕事で妊婦のときや育児でどうしても休まなくちゃいけなかったとき、お世話になった人たちに感謝することは大切だけど、
その時の気持ちを次の世代に嫌な顔をせず返していく。そんな風に。
神社の宮司さんがカマキリを見つけた子どもたちに掛ける言葉
「カマキリの赤ちゃんもあそこにあるツツジもそしてあなたたちも同じです。生きているものはすべてひとしくお父さんとお母さんに育てられて大きくなるんですよ」はとても意味深い。
夢を叶えるために何か大きなものを手放すこともあるだろう。
そんな時に
「望み通り想定したまま手に入れたとしても、それだけじゃ夢は叶ったとは言えないんだよ。そんなふうにどんどん自分の予想を越えた展開になってもそれをちゃんとモノにしていくことが本当の夢を実現するってことじゃないかな」という言葉
自分を変えるきっかけを作った出会いには、
さかのぼると繋がっている手が無数に増えていく。どの手がひとつでも離れていたらここにはたどり着けなかった。どんな出会いも顔もわからない人たちが脈々と繋いだ手と手が先にある
私にとって青山美智子という作家との出会いは、Instagramの投稿から、そしてそれは高校時代の友人、その友人との久しぶりの再会は、別の共通の友人が帰省したときに3人であったことがきっかけ。そこからどうなったのかはこちらから↓
さて、本題に戻して
大学に入学して半年、はじめての彼女に、わずか1ヶ月でライン「別れよ」のひとことでフラれてた孝晴。馬鹿にされないように服装や持ち物を無理してみんな真似をして頑張っても生まれながらにして三角形の頂点にたつあいつらにはかなわない、僕はずっと底辺にいるそんな思いを口にしたときに友達にかけたれた言葉「あっちしか見てないやろ?体の向きを変えたら世界が一転するで」「ほら、こっち向けばすぐそこが三角の頂点だし」そんなまるで手品のような言葉これって誰にでも響く言葉なのでは人の持つ色々な感情を浄化してくれるような1冊でした。