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誰かに贈りたい花はありますか?『わたしの知る花』を読んで

わたしの知る花     

           著者 町田そのこ


高校生の安珠が最近気になる人
それは4ヶ月程前から突然現れた
「絵描きジジイ」
いつも画板を下げうろついている。
どこからきたのか、どんな人なのか名前もわからず、77歳になる祖母よりも老け込んで見える。
ある日、公園のベンチに腰かけていたおじいさんが鉛筆を落としたのが見え、反射的に拾い「はい」と差し出す。
自分には関わられたくないそんな感じのおじいさんだけど、描いているモノが気になりノートを覗くとたくさん文章とスケッチには優しく描かれた絵。
興味をそそられ話かけるが逃げられてしまう。それが最初の出会い。
それから、偶然、幼なじみ泰斗との関係がうまく行かず泣いているときに会い、慰めてくれたことで縮まる関係

そんなおじいさんは、突然亡くなってしまう。彼のことが知りたいそんな気持ちで安珠は彼を知る人を探し、調べ始める。

主人公を変えながら、そのおじいさんの人生に触れていく。
何故、絵を描かなければならなかったのか。
どんな出会いと別れを繰り返してきたのか。
その意味、存在。
最後の真実に近づくときに、まさかここで泣かされるとは。悲しいようで、温かい、不思議な気持ちになった。


泰斗は、自分の存在について悩んでいた。
そんな彼にこんな言葉を掛けた老人

「お前にしかない良さがあって、お前しかない力が、あって、そこに良さを見いだす相手はきっといる。大事なのはさ、武器だよ。自分にとっての武器。自信を持って使える武器 個性とか美点とかそういうやつ」

そして、

「そもそも他人が誰かの生き方を否定する方がおかしいんだ。否定した奴らは否定するだけで、お前の人生を保証してくれるわけじゃない。お前がお前の人生を生きることだけが正解だよ」

こんな言葉を口にしこんな考えが自分にあったことに驚く。

場面で、場面で、人を人として自分をどうしたら愛せるか、そして許すことが出来るのか、
深いなぁ、腹ただしさとか、いろんな感情が、グルグルする。

あの時、贈れなかった花を贈ろう。
伝えたかった気持ちが届くように。


余談だけれど、ちょっと昭和時代の背景にちょっとだけ、高校生の頃、夏休みに観ていた昼ドラ「嵐が丘」シリーズとか思い出す 内容覚えていないのに(笑)

最後まで読んで頂きありがとうございます。

↓同じく町田そのこさんの作品の感想です。
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