第1話 夏休み 私が小学4年生の時の話です。退屈な授業がやっと終わり、校長先生のありがたい長いお話を聞き終わって待ちに待った夏休みを迎えた。 アスファルトの上を逃げていく水溜まりの蜃気楼、額から流れ落ちる大量の汗、畑の横を通ると必ずいる謎の羽虫の大群。小学生の私にはには地獄のような帰り道だった。早くクーラーの効いた部屋でゲームがしたい。そんな一心でやっと家に着いた。 鍵を開け靴を脱ぐと勢いよくランドセルを放り投げ、エアコンの温度を20℃に設定し、当時流行って
第1話 出会い 私はとある田舎の塾で中高生を教えているどこにでもいる大学生だ。教え子が一人、また一人と合格し、笑顔で卒業していく。先生に教わったから受かったと笑顔で報告しに来てくれる。生徒や親、他の先生から信頼されていたようで、このまま行けば全てが順調に行くはずだった。 半年前の秋頃、ある一人の生徒が入塾してきた。外見は芸能人のあのちゃんに似てる中学三年生のその生徒をAとしておこう。 その生徒は決して優秀と言えるような成績ではなかった。その頃のAでは第一志望には到底届