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【大罪と雨】キリスト教で映画「セブン」を再・考察する
どうもTJです
今回は1995年に公開され、現在IMAXで限定公開中の珠玉の名作「セブン」についてネタバレありで徹底考察していく
ずっと昔に見られた方も、この機会に初めて鑑賞された方も是非最後までお付き合い願いたい
登場人物の立ち位置
社会を諦めた定年間近のベテラン刑事サマセットと、社会に希望を持ってやって来た若手刑事ミルズ
対照的な2人はジョン・ドゥの残す大罪の痕跡に翻弄されながら「一週間」の旅をする
登場人物の物理的移動は精神的移動とリンクする
そう、この映画はサスペンスであり、サイコ・スリラーであり、ロードムービーなのだ!
私たちはサマセットとミルズたちに同化し、ジョン・ドゥによって予想だにしない場所へと導かれる
その終着点は後述するが、まずは当時人物の立ち位置について触れていきたい
ミルズ
田舎から奥さん(トレーシー)と共にやってきた若手イケイケ刑事
クソな社会でも、いつかは良くなると信じており、事件解決に向けて熱量を燃やす
彼は感情によって動くため、ジョン・ドゥの標的となる
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サマセット
そんなミルズと対照的なのがサマセット
昔はミルズのように社会をより良くしたいと思っていたものの、今は定年間近で社会に対して諦めている
彼は理性で動き、責任を取りたがらない
ミルズが人間的であるのに対し、彼はどこか機械的で、家にあるメトロノームはその象徴でもある
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ジョン・ドゥ
キリスト教(カトリック)において罪の根源とされる「7つの大罪」を殺人によって世間に知らしめ、社会を浄化しようとする男
サマセットと同様、理性的であり、機械的
読書家であるところをみても、サマセットとは相似的関係にある
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「7つの大罪」と「雨」
傲慢(Pride)嫉妬(Envy)憤怒(Wrath)怠惰(Sloth)強欲(Greed)暴食(Gluttony)色欲(Lust)
これらはキリスト教(カトリック)において罪の根源とされる悪しき欲求であり、ジョン・ドゥはこれらを殺人によって世間に知らしめ、社会を浄化しようとする
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劇中で引用されるミルトンの「失楽園」とは蛇に唆されたアダムとイブが、神の禁を破って「善悪の知識の木」の実である「禁断の果実」を食べ、最終的にエデンの園を追放されるというもの(wikiより)
ここでのアダムはミルズであり、イブはトレーシーだ
賢いヘビ(ジョン・ドゥ)に唆されたミルズは憤怒の罪を犯して「7つの大罪」を完成させてしまう(≒人間は原罪を負う)
ミルズの目指した性善説による社会から、ミルズは追放される
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『原罪と楽園追放』
ここで天気について視点を移そう
1日目から振り続けていた雨は、不思議とジョン・ドゥが自首する6日目に止む
7日目のクライマックス
舞台となる乾燥した大地は、神が人間の罪を一掃するために起こした大洪水が引いたことを連想させる(ノアの方舟より)
まるでジョン・ドゥの目的が達成されたことを裏付けるように
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なぜサマセットはミルズを救えないのか
ジョン・ドゥの思い通りに7つの大罪を完成させてしまったミルズ
ミルズは感情で動くため、ジョン・ドゥに簡単に支配されてしまう
だが、サマセットは違う
彼は理性で動く人物で、ミルズを止められる存在であったはずだ
しかしサマセットはミルズを救えない、というより救わない
なぜなら彼は一貫して責任を取りたがらないからだ
トレーシーに子どもを生むべきかと聞かれた際はどっちつかずの答えを言い、ジョン・ドゥの部屋に入ろうとする際もまずは令状が必要だと言う
サマセットがミルズの代わりに引き金を引くことができず、ただ「やめろ、拳銃を下ろせ」と弱々しく言うことしかできない理由はここにある
クソな社会で何十年も過ごした月日がサマセットをそうさせてしまったのだ
しかしこの映画が救いのない完全なバッドエンドかというと、そうとは言い切れない
「ヘミングウェイはこう書いている。『世の中は美しい、戦う価値がある』後半の部分には賛成だ」
ラストのサマセットのセリフ
意訳するなら「世の中はクソだけど、それでも戦う価値はある」
サマセットはこの一件で、まだ刑事として戦い続ける、抗いづけることを選択する
責任を取りたがらなかった男が長く、険しい道を行くことを選んだのだ
地獄から光へ到る道は長く、また険しい。
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いかがだっただろうか
今後も新作、旧作問わず気になった作品をレビュー、考察していく予定なので良かったらスキ、フォロー、コメント等是非
(今後の投稿の励みにもなります)
では!
*画像はすべて以下から引用
https://www.imdb.com/title/tt0114369/mediaindex/?ref_=tt_mv_sm
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