錆納戸(さびなんど)

錆納戸(さびなんど)

最近の記事

『戦争が遺したもの:鶴見俊輔に戦後世代が聞く』を買った。

 結婚前に娘が使っていた部屋を、少しずつ整理して自分の気に入った部屋にしようとしているのだが、遅々として進まない。おまけにせっかく空けたスペースに、サイクルトレーニングマシンを置けば、弱った足のトレーニングを再開しやすいかと、自ら提案してしまい…。まぁ、それで夫がやる気になったので良しとしよう。  予期せぬ臨時収入があったので、気に入った文房具でも買おうと成城学園まで出かけた。そのお店は、文具だけでなく本や食器類、輸入おもちゃなども置いてある、ちょっと不思議なテイストのお店で

    • 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』を読んだ。

       頭木弘樹さんを知ったのは、『食べることと出すこと』(医学書院 2020)が最初だった。医学書院の「ケアをひらく」シリーズの編集者、白石正明さんを知ったのが先で、この本も同シリーズの1冊で、あちこちで評判を呼んでいたからだ。そして、結構な衝撃を受けた。ここまで難病に苦しむ自分を曝け出しながら、それでいて読んでいてけっして読み手を暗くさせるわけではない文体に惹きつけられた。親しくしている友人が、頭木さんほどの難病ではないにしろ、ずっと消化器系の不具合を抱えていたため、この本を紹

      • 母、97歳。

         明日は、約1ヶ月半ぶりで実家の母に会いに行く。私と30歳ちがいの母は、今年の誕生日で97歳になった。足腰が弱くなり、耳は遠いが、気持ちはしっかりしている。毎日、母とは電話で話す。  父を見送って今年で15年。長生きするということは、親しい人に先立たれるということでもある。仲良くしていた母より若いお友達が、一人、二人と先立っていく。その寂しさを想像はしてみるものの、きっとその場にならなければわからない気持ちなのだと思う。兄一家と同居しているおかげで、娘の私は毎日の電話と、月に

        • 出会って嬉しい奈倉有里さん!

            奈倉有里さんの『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』(イーストプレス 2021)を読んだ時の気持ちは、今も覚えている。久々に丸ごと魅了されてしまう人に出会ったような気持ちだった。その後、奈倉さんの訳した本を何冊か読み、高橋源一郎の「飛ぶ教室」のゲストに逢坂冬馬さんと出られた会を聞き、二人が姉弟というのも衝撃だった。もちろん『同志少女よ!敵を撃て』は既に読んでいた。一体どういうご家庭で育ったの?と思う気持ちは、このお二人の作品を読んだなら、思うことだ。そして出版

        『戦争が遺したもの:鶴見俊輔に戦後世代が聞く』を買った。

          『鶴見俊輔伝』をようやく読み終えた。

           黒川創著『鶴見俊輔伝』(新潮社 2018)を電子書籍で購入したのは、1年以上前のことだ。その本を、主に移動の時に少しずつ読み進めて、数日前に読み終えた。568Pと、リアルな本だと結構の厚みになり、図書館で借りても期日内に読み終わらない気がしたのと、紙の本を増やしたくないと言う思いが、電子書籍の購入に踏み切った理由だ。  鶴見俊輔という名前は、あちこちで見かけ、何冊かは著書も読んだ。鶴見さんの伝記を読むことで、この時代をもう少し知りたいという思いもあった。読みながら、自分が知

          『鶴見俊輔伝』をようやく読み終えた。

          『死んだ山田と教室』を読んだ。

           著者は、金子玲介氏。講談社から2024年5月に出た新刊だ。仲良くしている司書さんが、 こんなに男子校ノリでバカっぽくてくだらなくて、でも読んでて思わず笑い出してしまったりウルッとしたり切なくなったりいろいろ考えさせられたり、久しぶりに誰かと語りたい気分になったとメールしてきた。これは読まねばと、手に取った。  物語は、高2の夏休みの終わりに、2年E組の人気者だった山田が交通事故死するところから始まる。落ち込む生徒を元気づけようと、担任の花浦がしょうもないことを言ってると突然

          『死んだ山田と教室』を読んだ。

          名前を変えてみた。

           noteにはクリエイター名がつけられる。単純に下の名前にしてみたが、あまりしっくりこない。でも何も思い浮かばない。そこで、好きな色から探すことにした。好きな色は迷わず「青」と言える。そこから一つ選んだのが、錆納戸。歳もとったのでちょうどいいかなと。錆納戸をググってみたら、日本の伝統色で、深みのある青色が特徴的な色とある。日本の自然や文化に根ざした色彩として、多くの人々を魅了し続けているらしい。  ちょっと自分には贅沢な名前だったかもしれないが、まぁ最初に記事が鉄瓶なので、鉄

          名前を変えてみた。

          『死を生きる:訪問診療医がみた709人の生老病死』

           上記の本は、小堀鷗一郎氏による今年4月に朝日新聞出版社から出た新刊でである。この本を知ったのは、NHKラジオ「著者からの手紙」だった。 それまで優秀な外科医として勤務してきた著者は、定年を境に訪問診療医として、自宅での多くの死を看取り、それまでの考え方を大きく変える。一般的には、医者は生かすための治療をすることに全く疑いを持たない。つまり「命を永らえる医療」こそが医者の使命だと疑わない。しかし、「命を終える医療」もあるのではと、強く思うようになったという。命を終える医療は、

          『死を生きる:訪問診療医がみた709人の生老病死』

          『書く習慣:自分と人生が変わるいちばん大切な文章力』を読む

           書くことは嫌いではないが、それはたいてい読み手がいる文章だったりする。締め切りもなく、特定の読み手がいるわけでもないNoteの記事は、気がついたら2年も放置していたことに唖然!ただし鉄瓶生活は、今も続いていて、5時の起床とともに、洗濯機を回し、鉄瓶に水を入れて沸かす生活はすっかり習慣となった。  今回久しぶりに、書く気になったのは、『書く習慣:自分と人生が変わるいちばん大切な文章力』という本を手にしたからだ。著者はいしかわゆきさん、出版社はクロスメディア・パブリッシング。2

          『書く習慣:自分と人生が変わるいちばん大切な文章力』を読む

          鉄瓶生活はじめました。

           60歳の誕生日を迎えたと思ったら、あっというまにそれから5年。60過ぎると1年が早いよ…とは聞いていたが、これほどまでとは。コロナ禍が、加速感を増す要因だったのかもしれないが。忙しさにかまけて、日々の生活をないがしろにしてきた感が。ていねいな暮らしに憧れつつ、自分にはできていないことを、なんとなく忙しさのせいにしてきたけれど、きっとこれはやる気の問題だ。このままだと、生活を慈しむことなく、人生を終わってしまうかも。  そこで、まずはやってみたかったことからはじめることにした

          鉄瓶生活はじめました。