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『死んだ山田と教室』を読んだ。

 著者は、金子玲介氏。講談社から2024年5月に出た新刊だ。仲良くしている司書さんが、 こんなに男子校ノリでバカっぽくてくだらなくて、でも読んでて思わず笑い出してしまったりウルッとしたり切なくなったりいろいろ考えさせられたり、久しぶりに誰かと語りたい気分になったとメールしてきた。これは読まねばと、手に取った。
 物語は、高2の夏休みの終わりに、2年E組の人気者だった山田が交通事故死するところから始まる。落ち込む生徒を元気づけようと、担任の花浦がしょうもないことを言ってると突然山田の声が!2Eが好きすぎて、成仏できなかった山田は、なんとスピーカーに憑依し、声だけの存在となっていたのだ。こんな怪奇現象を知られたら世の中がほっておくはずはない。だから自分たちだけの秘密にしようと、山田と会話をする時のバカっぽい合言葉を決める。そう、この辺りは、本当に男子校特有のノリの良さ全開。大好きな山田と再び話ができた喜びに沸き、山田の誕生日を全員で祝ったクラスメートたちも、3年に進級し、高校の卒業式を終えても、成仏できない山田を徐々に忘れ去っていく。
 いや〜、なんとも切ない話でもあった。が、それにしても、高校生たちがどんどん成長し、自分のことでいっぱいいっぱいなのは仕方ないが、学校にずっと残っている花浦先生、山田に対して、何のリアクションもしないって、ひどくないか…と、高校生たちよりそっちが気になった私である。
 そして、山田をずっと忘れずに、名門高校(そう、最初こそバカっぽかったが、実は山田たち、優秀な私立の進学校に学ぶ高校生たちだったのだ)の教師となって戻ってくるために必死だった和久津。その割には、山田はそこまで和久津を思ってないんじゃないか。でもオチがそうきたか…。この物語をどう読んだか、確かに誰かと語り合いたくなる本だった。今度語り合ってみよう。

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