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冬の匂い

 冬、道を歩いていると、どこからともなく独特の匂いがしてくる。こんな季節になったかと思うと同時に、懐かしい気分になる。

ハマヒサカキ

 匂いの正体は、生け垣などによく使われているいつも緑の植木で、黒に近い群青色の実が枝に列になってついている木。今まで「あれか」と思うだけで気にもとめなかったが、今回、あれ何という名前だろう、と思って調べてみたら、ハマヒサカキという植物のようだった。

 ちょっとショックだったのは、どのサイトでもあの特有の匂いを「ガスのような臭い」「プロパンガスの臭い」と説明されていたことだった。がーん。そんな風に思った事なかった。

剪定の痕が痛々しい

 懐かしいと感じていたのは、おそらく、幼稚園児の頃住んでいた家の庭にこの木が生えていて、その匂いを思い出すからだろう。大きな木が生えていて、幼稚園児には森のように感じられた庭だった。

 あの庭はどうなったかな? 行ってみたいが、ちょっと遠いんだよな。

実と花が一緒の時期って不思議

 でも、今は現地に行かなくてもグーグルマップのストリートビューがある。ちょうどパスポートのために取った戸籍謄本にその住所が書いてあったから地図上で検索したが出て来ない。

 随分昔のことで平成の大合併やらなんやら等いろいろあったから、住所表示が変わっているかもしれない。最寄り駅と近くの丁目まではわかったので、ストリートビューでぐるぐる見て回って、通っていた幼稚園は見つけた。場所は間違っていないはずだ。

 でも、住んでいた所は見つからなかった。跡形もなくなっていた。

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