研究テーマを決めるにあたって①~18世紀末パリにおける飲食業史、私がパティシエをあきらめるまで
大学院の博士課程まで進むと、
まずは、博論に向けてのテーマ決めを行うことになる。
研究テーマは博論を提出するまでは続くわけだから、
少なくとも5年間くらいは、一つのものを持続するわけだ。
たいていの学生は、学部、大学院修士課程と続けてきた研究の土台の上に、
城を築くような形で、研究を進める。
研究テーマを5年間維持するどころか、
大枠の部分(研究する地域や、年代など)は10年近く連続しているということもざらだろう。
しかし私の場合は、この慣例から大きく離れていた。
何しろ、パティシエになりたい人生を歩んでいたのだから。
大学の学部生までは、いわゆる優等生だった。
しかも、高校も進学校で、大学も有名大学の看板学部だった。
しかし、パティシエになりたいという気持ちは、
幼稚園から30くらいまでずっと抱いていた気持ちだ。
断念したのは、あくまで体がもたないという理由であって、
今でもパティシエに未練がある。
勉強は好きだった。
何もしないでもできたわけでは決してなく、
自分なりにかなり努力をした。
けれど、お菓子作りはプロを目指していたのだから、もっと努力した。
専門学校に行く以前から、クラスメートに試食してもらって、
味の感想を聞いたり、
ラッピング技術を磨いたり、
勉強以上に研鑽を積んだ。
無事に大学を卒業したことで、
親孝行は終わり。
あとは自分がコツコツためたお金で、
好きな道へ進もう!
専門学校で最優秀賞を受賞して卒業した時は、
自分の努力が報われた気がして、
そのあとのフランスへの修行も順風満帆だと思っていた。
しかしフランスでまさかのドクターストップ。
帰国を余儀なくされ、
人生が一気に真っ暗になった。
ドクターストップで帰ってきたのだから、
当然帰国してからは、つらい療養生活が待っていた。
そんな生活に光をさしてくれたのが、
意外にも、「勉強」だったのだ。
続く。
写真:引用 Antoine Beauvilliers, L'art du cuisinier, 1814
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