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1%の社長しか知らない銀行とお金の話

会社にとって、お金は命の次に大切なものです。

しかし、多くの社長は、お金に関する知識やノウハウが不足しており、損をしている可能性があります。

本書では、現役金融機関支店長も感嘆する、会社のお金の増やし方を解説します。



要約

・はじめに
融資を受けないことは、会社を成長させないこと。
世間一般には、
「借金=わるいもの」
「利息=払わないほうがいいもの」
「借金をする人=計画的にお金を使うことができない人」
だと考えられています。
個人の立場で借金を避けるのは、たしかに正しい。

しかし、会社経営は違います。
「借金=成長のための資金」
「利息=会社を守るための保険料」
「借金をする人=事業計画を立てられる人」
だと私は考えています。

・自己資金があるからといって、倒産しないわけではない
「無借金であれば会社は倒産しない」と考えているとしたら、キャッシュフローに対する認識が甘すぎます。
倒産は、「手元資金がなくなるとき」に起こります。
無借金でも売掛金、支払手形、在庫の管理ができなければ、倒産のリスクが高くなります。
私は自己資金だけで回すことができても、金融機関から「借りてください」と申し出があったら断らない(支払利息額の目安は、経常利益の10%以内が健全)。
借入れをして(しかも無担保・無保証で)資金調達を高めたほうが、財務の安全性、健全性を確保できると考えています。

たとえば、A社の社長は、「自己資金があるのだから、借入れは必要ない。借入れをしなければ、利息を払うことも、返済の心配もしなくてすむ」と考え、自己資金4億円をすべて設備投資に投じました。
ですがA社の社長は会計・財務に関する認識が甘かった(B/Sを見ずに経営していた)。
工場新設後に経営環境が悪化して、運転資金が足りなくなったのです。
4億円の自己資金があるなら、金融機関から4億円の融資を受けられる。
なぜなら、「4億円の現預金がある=4億円を返済する能力がある」と判断するからです。
金融機関から4億円を借入れて工場を新設し、自己資金に手をつけていなければ、経営環境の変化にも慌てることはなかったはずです。

・無借金経営ではなく「実質無借金経営」を目指す
武蔵野(著者が社長を務める会社)の資金運用に関する基本方針
①現預金と固定預金の合計で長期借入金を上回り、実質無借金経営にする。
②長期借入金を増やし、月商の3倍の現金・普通預金を確保し、緊急支払い能力を高める。
③借入金は長期とし、総額を30億円以上にする。
実質無借金経営とは、「有利子負債を返済しようと思えばいつでもできる状態」「有利子負債がすべてなくなっても経営に必要な最低限の現預金が確保されている状態」です。

・業績が良いときにこそ借入れをしておく
多くの社長は、「業績が下がったとき」にお金を借りようとしますが、その考えは間違いです。
金融機関は、業績が悪い会社には貸したがりませんし、貸したとしても担保をとります。
ですから、お金は「業績が良いとき」にこそ借りておく。
当面、使う予定がなかったとしても、借りられるだけ借りておくのが正しい。

・中小企業は、どの金融機関からお金を借りればいいか
取引する金融機関を1行に絞ってはいけません。
一行としか取引のない会社は、その金融機関から融資を受けられなくなると、資金繰りが一気に悪化します。
メインバンクからの借入れは、「全体の55%以内」に留めたほうが安全です(私の経験上、適性は35%)。

・無担保でも融資を受け取ることができる
担保を差し出すのは、信用されていないからです。
金融機関から信用を得ることができれば、無担保で融資を受けることが可能です。

金融機関は、「抵当権だと融資のたびに設定登記しなければならないので、その分、手間と手数料がかかる。けれど、根抵当にしておけば、毎回担保を設定しなくてよい」と根抵当権のメリットを説明します。
たしかにその通りですが、私はデメリットのほうが大きいと考えています。
①根抵当権を解除する場合、複雑な手続きが必要である。
根抵当権の場合、借入金を完済しても、根抵当権は残ります。
借り手側と貸し手側双方の合意がなければ、解消されず、貸し手(金融機関)が解消に応じてくれないケースもあります。
②他の金融機関に融資を申し込んだとき、「担保価値がない」ものとみなされてしまう。
不動産を担保に最初にお金を貸した金融機関には1番抵当権が設定され、2番目にお金を貸した金融機関に2番抵当権が設定されます。
別の金融機関が「1億円」の根抵当権を設定している不動産に対して、「2番根抵当権でもいいので融資したい」と考える金融機関は稀です。
つまり、金融機関側に立って考えると、「根抵当権にしておけばライバル銀行の参入を防げる」わけです。
もし、担保の設定が必要な場合は、根抵当権ではなく、「抵当権」で借りる。

・社長が自己資金で家を買わないほうがいい理由
私は「社長が家を買うときに、自己資金は出さないほうがいい」と考えています。
理由は、「会社も社長個人も、手元の現預金を持っておかないと、リスクが高くなる」と私は考えているからです。

融資を受けないことは、会社を成長させないこと。
「借金=成長のための資金」
「利息=会社を守るための保険料」
「借金をする人=事業計画を立てられる人」
倒産は、「手元資金がなくなるとき」に起こります。
借入れをして(しかも無担保・無保証で)資金調達を高めたほうが、財務の安全性、健全性を確保できると考えています。
理想は、無借金経営ではなく「実質無借金経営」です。
実質無借金経営とは、「有利子負債を返済しようと思えばいつでもできる状態」「有利子負債がすべてなくなっても経営に必要な最低限の現預金が確保されている状態」です。


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