健康になる技術 大全
要約
・エビデンス
エビデンスには強弱がある。
そして、科学の世界は、私たちが思うほど白黒はっきりしていない、ということです。
日本人の半数が、がん・心疾患・脳血管疾患のいずれかの三大死因で亡くなっている。
日本人の死因リスクトップ10を整理すると、ピロリ菌とC型肺炎ウイルスを除いて、そのほとんどが、「たばこ、食事、運動、アルコール、ストレス」に関連するものである。
・行動
アメリカでは1988年から2006年の18年間にわたって、人々がどのくらい健康のための簡単な生活習慣を守れているかを調査しました。
具体的には、健康的な食生活、定期的な運動、健康的な体重、ほどほどの量のアルコール、たばこを吸わないことです。
その結果、この5つを守れている人は、調査対象のたった「8%」しかいませんでした。
健康習慣を変えることが難しいのは、変えにくい人間の特性があるためである。
例えば、人は基本的に現状(デォルト)を変えることを好まない(現状維持バイアス)。
遠い先の未来の良いことよりも、今すぐの喜びに圧倒される(現状志向バイアス)などが挙げられる。
健康習慣を変えたい時に、知らないうちに自分の行動に影響を与えている考え方の癖に気づくことが大切。
自分が選択する行動の正当化(認知的不調和)。
周りがやっているから大丈夫だと思う(バンドワゴン効果)。
目の前の行動があまりにも些細なことに感じられて行動効果を結びつけられない(ピーナッツ効果)。
強制されたり押しつけられると逆のことをしたくなる(リアクタンス)。
感情や直感的な判断により物事を決めたり、行動したりすること(直感的な判断・メンタルショートカット)がある。
・食事
食事の考え方として、何かを一つ食べれば病気にならないという考え方から脱却することが大切。
「穀物」
全粒穀物の摂取は色々な疾患と関連しており、疾患の予防・健康に良さそう。
白米に関しては、より多く食べる人ほど、糖尿病のリスクが高い傾向がある。
「野菜と果物」
野菜や果物を摂取している人ほど、死亡率が低くなる傾向が認められている。
細かな推定としては、野菜と果物は、量でいうと約80g食べるごとに、5~6%ほど死亡率が低くなるというイメージ。
また、豆の摂取が多い人ほど、循環器疾患などによる死亡率が低いことも認められています。
野菜ジュースと疾患の関係に関しては、明確なエビデンスはありません。
オーガニック食品は長期にわたる質の高いエビデンスはまだ不十分。
「肉」
赤肉と加工肉の摂取が多くの疾患のリスクを上げることが認められつつある。
肉の摂取だけに気をつけるのではなくそれに伴う食生活全体を意識することが重要。
たんぱく質の摂取を意識したい場合には、動物性たんぱく質なら鶏肉・魚・卵。
植物性のものでは、豆類、穀物、ナッツ類などを考えたい。
「魚」
魚に関しては、疾患の予防についてはメリットがあると考えられています。
摂取量が多い人ほど、死亡率、心臓の病気や脳卒中のリスクが低いことが報告されています。
「乳製品」
乳製品をとっているからといって骨が強くなるとは限らない。
牛乳や乳製品と健康の関係は、カルシウムだけでは説明できないことが多いことに留意する。
カルシウムの摂取を意識するなら、乳製品以外の食材もたくさんある。
干し海老、煮干し、しらす、干物などの魚類、海苔やひじきやワカメ、昆布、青のりなどの海藻類、小松菜や大根、豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆食品・豆類もカルシウムが豊富。
「あぶら」
脂肪酸は、大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。
飽和脂肪酸の摂取量が多い人は、他のもので代替することを考えてみることが大事。
一般的に不飽和脂肪酸の方が体に良いと考えれらている。
工業的なトランス脂肪酸には要注意。
「砂糖」
糖類、人工甘味料を添加することを最小限にし、野菜や果物、穀物といった食品群に重きを置いて、これらに含まれる糖分に頼ることが重要。
「アルコール」
アルコールの摂取による病気の予防効果は限られている。
お酒が飲めない人や、今飲んでいない人は、無理に飲む必要はない。
「サプリメント」
サプリメントの常用に関するエビデンスは乏しく、健康のためにと思っているものが仇になる可能性もある。
「塩」
塩分のとりすぎは、日本人の死亡率を上げる要因のランキングで第6位、食品の中では第1位に位置付けられている。
・運動
運動不足は「死ぬ」原因にもなりうる。
体を動かすのはたとえ少しだとしても、全く動かなないよりは、死亡リスクが下がる。
有酸素運動、筋力増強運動、柔軟運動、バランス運動の4タイプの運動を組み合わせると良い。
・睡眠
睡眠に関する厚生労働省の指針では、年齢や季節でも変わるために一概に言うことは難しいものの、必要な睡眠時間は約6時間~8時間未満だと述べられています。
睡眠には、健康のために3つの重要な要素があります。
①体の健康のため
寝ることで、起きている間に損なわれたものを修復、回復させる機能があります。
②脳と感情の健康的な状態を保つため
寝ることで、学んだり何かを実行したりするのに重要な能力を養っていることになります。
③起きている間の生産性と深く結びついているため
連続して17時間以上起きている状態になると、血中アルコール濃度が0.05%(缶ビール1缶飲んだとき)を同じ状態になる。
健康になる技術とは、健康でいるために必要なことを実践するスキルです。
簡単にいうと、健康になるためには「何」を「どのように」行ったら良いのか、自分の環境や特徴(弱点・強み)に合わせて実践する技術を指します。
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