
独断でつけた2021年1月期ドラマランキング9位〜5位
2021年1月期のドラマがようやく全て最終話を迎え、自分なりにランキングをつけてみた。
全てのドラマを制覇することは出来なかったものの、こうやって並べてみると全部で16本もの作品を観ていたことがわかり、自分史上最多となるシーズンであったことに驚きを隠せないでいる。
どれも個性豊かで楽しめた作品ばかりで、ランキングといってもほとんどあまり差のない微妙なものだ。
あくまでも54歳の今の私が独断でつけたランキング!
昨日に引き続き、今回は9位から5位まで。
●第9位『君と世界が終わる日に』
脚本・池田奈津子
原作・なし
主演・竹内涼真
平均視聴率・7.8%
日本テレビとHuluの共同制作で2021年1月17日からSeason1がスタート。
地上波ゴールデンタイム初のゾンビアクションドラマだ。
池田奈津子のドラマで忘れもしないのが『砂の塔〜知りすぎた隣人』。
毎回ストーリーに引き込まれ、特に松嶋菜々子の演技が怖すぎたのを覚えている。
自動車整備工の青年・竹内涼真演じる間宮響は、高校時代から交際して現在同棲中の研修医である恋人・中条あやみ演じる小笠原来美にプロポーズしようと準備していたある日、トンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。
4日後、崩落したトンネルから命からがら響が脱出すると外の世界は一変しており、絶望的な状況の中でも来美は絶対生きていると信じ、彼女を探し出すまでのストーリー。
出てくるゾンビがまぁリアルで普通に怖い。殺すシーンもめちゃくちゃあるのだが、これをよくゴールデンで放送したなと思うレベルだ。
アメリカのテレビドラマ『ウォーキング・デッド』がお手本となっているのでは…との声も多く聞かれるが、基本この手のドラマは好きではないので『ウォーキング・デッド』を見ていない私は真っ新な状態で見始めた訳であるのだが、最終的な感想としては、まぁまぁ面白かったという感じだ。
最終話で意外にも泣いてしまったシーンがある。
響と来美はようやく出会えるのだが、他の生存者の命と引き換えに響を殺すことを命令されていた来美に「好きにしていいよ」と告げるのだが、来美はどうしても響を殺すことが出来ない。
響は来美を抱き締め、来美の手にナイフを握らせ、自らナイフを腹に刺し「愛してる。前よりずっと」と涙ながらに告げるのだ。
そのシーンがとても悲しく、ふたりの演技が素敵だった。
〝感染〟や〝ワクチン〟といった今のご時世聞き流しにくいワードが連発するドラマを、あえてこの時期に放送したことに対する批判もあったと聞く。
地上波の放送終了後からHuluでシーズン2の配信がスタートとなっているが、Huluを登録していない私にとって若干のモヤモヤはあったが、シーズン1としてはちゃんとストーリーは完結していたと思うので、そこは良しとしよう。
『君と世界を救う日に』ではなく、『君と世界が終わる日に』というタイトルに込められた意味はなんなのか。
シーズン2の結末が感染を抑えてのハッピーエンドになることを強く祈る。
●第8位『アノニマス〜警視庁〝指殺人〟対策室〜』
脚本・小峯裕之、玉田真也、入江信吾
原作・なし
主演・香取慎吾
平均視聴率・5.5%
アノニマス (anonymous) は、「匿名」を意味する英語だそう。
SNSで誹謗中傷問題に焦点を当てた、オリジナルサスペンスドラマだ。
放送終了後の3月17日には、⻄条みつとしによる小説版の発売が開始されたらしい。
オープニング曲は、アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」。この曲がめちゃくちゃ怖カッコいい。
警視庁生活安全部内に新設された悪質性、事件発生可能性、社会的関心の高いSNSトラブルを捜査する部署。通称「指対(ゆびたい)」が舞台。
私は基本SNSを利用しない人間なのだが、そんな私でさえ恐いと思えるような事件が1話ごとに次々と起こり、とても考えされられるドラマだったように思う。
そこに2年前に起こったとされる香取慎吾演じる万丞の元相棒・シム・ウンギョン演じる倉木が撃たれる事件と、よくドラマで有りがちな大臣の不正献金や警察上層部による証拠ねつ造などがうまく絡まり、最後まで『裏K察』という闇サイトに投稿を続けるアノニマスの正体も誰なのか分からず面白かった。
そしてアノニマスの正体がまさかの倉木であることが判明し、最終話の万丞と倉木の対峙シーンは、ふたりの白熱した演技が話題になった。
「一人ひとりの目を見て、直に声を聴いて初めて分かることもある。SNSのネット炎上のようなみんなで一斉に叩くやり方じゃ見えない真実もあるんだ!生まれる犠牲者だっている!」
と訴える万丞。
撃たれて病院のベッドに横たわる万丞に倉木は、
「一旦裏K察は閉じます。けど私は諦めません。ネットの未来にはその可能性がある。私は私なりの正義を探し続けます」
と言い残し去る。
「俺も俺なりの正義を探し続けるよ」
万丞は静かにつぶやく。
本当の正義とは一体なんなのか。
ネット社会への警告でもこのドラマは、そんなことを訴えているのかも知れない。
●第7位『知ってるワイフ』
脚本・橋部敦子
原作・韓国テレビドラマ『アヌン ワイプ』
主演・大倉忠義
平均視聴率・7.5%
橋部敦子は『救命病棟24時』や『フリーター、家を買う。』などの数々のドラマや、今シーズンの第11位に挙げている『モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜』の脚本も手掛けている。
関ジャニが歌っている主題歌「キミトミタイセカイ」がとても良い。
最終話にいきなり関ジャニの丸山くん登場で話題にもなった。
夫婦関係に悩む主人公・大倉忠義演じる元春がタイムスリップし、妻を入れ替えたことにより〝本当に大切なことは何なのか〟を模索するファンタジーラブストーリー。
結局2度もタイムスリップした元春だが、初めの妻・広瀬アリス演じる澪と出会うことになり、やはり一緒に居たいのは澪だと気付く。
澪もまた元春に再び出会うためにタイムスリップしていたのだ。
これはドラマでははっきり描かれてはいなかったが、澪の母親もおそらくタイムスリップしていたと思われる。
それは澪にコインを渡したのが澪のお母さんだったこと、そして澪がタイムスリップした時、なぜかお父さんが2年も長く生き、お母さん本人も認知症にはなっていなかったということから推測できるのだが、うーん…めちゃくちゃ皆んなタイムスリップしてるよね…。
誰がどのタイミングでタイムスリップしたのかがややこしくて、時系列にして整理するなんてことはさらさらする気はないのだが、まぁハッピーエンドで、誰もが幸せに暮らすことが出来たのだから良しとしよう。
ラストの元春の台詞が、良い夫婦関係でいられるコツを教えてくれていた。
2度もタイムスリップして、自分が色んな人を傷付けてしまったことにやっと気付けた元春だから言えることなのか…。
これもあまり深く考えないようにしよう。
●第6位『ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎』
脚本・北川悦吏子
原作・なし
主演・菅野美穂
平均視聴率・8.7%
北川悦吏子と言えば知る人ぞ知る売れっ子脚本家。
『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』『ビューティフルライフ』『空から降る一億の星』『オレンジデイズ』などなど…その名だたる作品は数知れない。
主題歌である家入レオの「空と青」の作詞も担当している。
作曲は Alexandros の川上洋平。 主人公の担当編集者役でドラマに出演している。
売れっ子恋愛小説家でシングルマザーの菅野美穂演じる水無瀬碧。
彼女の悩みの種は、浜辺美波演じる20歳の一人娘・空が筋金入りのオタクで、漫画やコスプレに夢中で彼氏ができないこと。
一方、娘・空の悩みの種は、いい歳をして天然、暴走、世間知らずの三拍子が揃った母親・碧であった。
途中、碧と空は本当の親子ではないことが発覚。実の母親は亡くなっており、碧が小さい空を引き取りひとりで育ててきた。
親子愛、そして母娘ふたりそれぞれの恋がテーマのこのドラマ。
一番泣けたのが、昔愛した空の父親について行くか悩む碧が「でも母はまだ娘の側に居たい、離れたくない、見守っていたい」と泣きながら話すシーン。
空も碧の横になり、それを聞いて笑顔で涙を流すのだ。
大切な人は意外と側にいる。
碧にとってそれは幼馴染のゴンちゃんであり、空にとってそれは一緒に漫画を書き上げた光だった。
そして離れていても繋がることは出来る。
実の父親と離れ離れで暮らしていくと決めた空は、3人で写真を撮ろうと言う。
空にとって初めての家族写真。
実の父親と育ての母親の前で、子供に帰り元気にブランコを漕ぐ空。
笑える要素も沢山ありつつ、とてもほっこりする良いドラマだった。
●第5位『天国と地獄〜サイコな2人〜』
脚本・森下佳子
原作・なし
主演・綾瀬はるか
平均視聴率・15.3%
森下佳子のこれまでの作品としては『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『JIN-仁-』『ごちそうさん』『義母と娘のブルース』など、話題になったドラマが数多くある。
特に『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『JIN-仁-』『義母と娘のブルース』は、綾瀬はるか出演作品である。
このドラマのモチーフとなるのは、本当にある鹿児島・奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」だ。
「本当は月は太陽に、太陽は月になるはずだった」という伝説を、刑事と殺人事件の容疑者ふたりの入れ替わりに重ねて物語が展開する。
主題歌である、手嶌葵の「ただいま」も、その切ない歌声とメロディーが、ドラマの根本にある〝生きることの寂しさ・はかなさ・悲しみ〟といったものにとてもマッチしていたように思う。
綾瀬はるか演じる刑事・望月彩子と、高橋一生演じるベンチャー企業社長・日高陽斗。
ドラマ開始間もなくふたりは入れ替わり、綾瀬はるかは男・日高の演技、高橋一生は女・望月の演技をほぼ全編している。
彩子は、殺人事件の容疑者である日高と新月の晩に階段から転落した際に入れ替わってしまうのだが、実は日高には二卵性の双子の兄が居て、生き別れになったその兄が実は連続猟奇殺人犯で、その罪を日高が被ろうとしているというストーリー。
個人的には、最後にもうひとつどんでん返し的な展開が欲しかったように思う。
変な勘繰りをするクセがある私は、日高の双子の兄もまた違う誰かと新月の晩に入れ替わっており、実は殺人犯は別の誰かなのでは…などと余計なことを考えていた。
最終話にて、北村一輝演じるセク原こと河原の日高への取調べシーンがカッコ良かったと話題になった。
しかしココでも私は北村一輝の台詞が大阪弁から標準語に戻ってたのが妙に気になり、内容があまり入ってこなかったという残念な結果になった。
とは言え、物語の展開はハラハラドキドキしたし、また双子として生まれてきたはずが、別々の人生を歩むことになってしまった2人の月と太陽のような運命に涙したのは事実。
「月と太陽の伝説」からこのような複雑なドラマが生まれるのはさすがだと、ただただ感服である。