死んでもいい
癌だと告知を受けたとき
あまりにも夫婦の不和から
日常が苦しすぎたので
もう治療はしない
このまま緩和ケアのみで
終わろう
と思った
生きていたい
という気持ちが
本当に
無かった
けれど
癌だと電話で彼に告げたとき
人目も憚らず泣きながら
私への愛と
死んだら僕は脱け殻になる
と
言われた
その言葉を聞いて
私の厭世観を越える
彼への深い愛があることに
気付いた
何よりも
この人を
一人にしてはいけない
何としても
この人を
残してはいけない
と
強く思った
背の高い甘いマスクのイケメン
を
電車の中で
電話しながら号泣する目立つ男性
に
してしまって
ごめんね
私は
外では泣かずに
あなたの腕の中でしか泣かないの
私の寂しさは
あなたによってのみ創られるから
私は
あなたとのセックスでしか
満足できないの
愛は性技を越えた最高のエレメントだから
私は
あなたと生きることしか
幸せではないの
愛が人生の最終目標だと知ったから
こんなに自分の中に
純粋なものがあるなんて
信じられないくらいに
彼を
愛している
「嘘みたいに
ただ
彼を愛している」