彼が
写真をいくつか
見せてくれた
晴れた日に
天に向かって咲く
向日葵のように
美しく笑う女性に
使い慣れた毛布のような
暖かな愛情を
静かな微笑みに落として
寄り添う男性
一組の
夫婦
美しい
それは
愛の国の夫婦
彼の
ご両親が
こういう方だから
彼は愛情深いのだなと
真に
感じる
私の親は
日本のほとんどのそれが
そうであるように
子供や
家族といったものを
愛してはいる
ものの
夫婦
として
愛し合っている様が
見てとれるカップル
ではなかった
いえ
むしろ
争いこそなかったけれど
愛
は無かったのではないか
そう
思えるものだったから
私には
夫婦愛
というものが
見えない
だから
期待も
欲しいとも
思わなかった
愛の国の人
と
愛を知らない国の人
そこには
どのくらいの
差があるのだろう
トンカツ
を知らない国の人に
トンカツ
の
美味しさを伝えるのは
難しい
食べさせれば
わかるけれど
美味しいと
言うのだろうか
そもそも
食べさせることは
できるだろうか
美しいものは
美しいままに
離れて見ていないと
いけないのではないか
近づいて
壊したくない
そう
畏れる
でも
見てみたい
それが
私にもあるのなら
でも
飛び込んでみたい
それが
彼と共にあるのなら
でもでも
とりあえず
私は
セックスしたい
ばかりだから
肉欲の国の人ね
にくよくのくに
にくよくのくに
ゲシュタルト崩壊する