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小説 #20 アルジズの業深き計画
アルジズは、自分と同じ〈ベルカナ〉型DNAを持つ壺井をインターネット上で捕捉する。
〈ベルカナ〉を見つけた。身近なところに。
わたしがこれまでに知りえたことをブレインダンプしておく。
壺井はこんな男
壺井は、〈ベルカナ〉と呼ばれる特殊なDNAパターンが織り込まれた〈ベルカナ質〉である。日本には極めてまれにしか報告例がないとされる。〈ベルカナ質〉の多くは、何かしらの特殊能力を発現させることが多いとされている。
ヴィークル社という、個人の情報世界アーカイヴ業をやっている。収益は莫大だと思うが、もちろん誰にも確かなことはわからない。
芸術家としての顔も持つ。生命科学っぽいモチーフのデジタルアートで知られる。近年、映画のコスチュームデザインや、建築デザインなどでも国際的な人気を博している。彼の〈ベルカナ性〉は芸術的な分野において、彼独自のシグネチャーを鮮やかに印していると言える。
ヴィークル社は、芸術家界隈に密かに出回っているアーカイヴ業リストに掲載されている。アーカイヴ業というものが、そもそもどのような仕組みで成り立っているのかは、杳としてしれないが、壺井の場合は、彼の〈ベルカナ〉由来の能力を生かして行っていると思う。
・・・であるが、本人の仕事場は倉庫の間借り。客を呼ぶときはわざわざ隣接する中華料理屋を通り抜けて案内すると言われている。
わたしのクライアントの作家フェイ・フューは、壺井に自己のアーカイヴを依頼していた。
・・・ここで、一気に壺井がわたしの身近なところへと手繰り寄せられた。
さて、この壺井をどうやって使うか、だ。
どうやったらわたしたちの〈ベルカナ〉を〈ニードファイア〉に昇華できるんだろう・・・。
どこにも答えはない。自分の頭で考え抜くしかない。
再び、ブレインダンプ・・・。
並んで横たわって、なんかケーブルみたいなので接続されて、〈ベルカナ性〉が掛け合わされる。
なんか象徴的なものの力で、〈ベルカナ性〉が掛け合わされる。例えば、聖書に手を置いて呪文を唱えるとか。
どこか身体的な一部が抽出されて、それが掛け合わされる。
電池の並列つなぎのような状態で、電球が点く。その灯が〈ニードファイア〉。
灯はそのラボみたいな場所から溢れ出て、世界を照らす・・・。
アルジズ、自分のDNAに聞くんだ!