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小学校の図書室を、君のミニマムな持ち場とせよ。
バー《chatsubo》に集う、すべての文人たちから送る、夏休みの全ての子どもたちへの檄文。
夏休みだ。許可する。君は想像してよい。
小学校の図書室にあるSF本に書かれているすべてのことは、想像してみてよい。
死だろうが、残虐な殺戮だろうが、卑劣な裏切りだろうが、サイコパスによる無慈悲な拷問だろうが、想像してみてよい。思い切り詳細に思い浮かべてよい。
図書室にいる限り、君は安全だ。
誰も君の脳内を覗き見はしない。
誰も君を、下品だとか、俗物だとか、だらしないとか、不真面目だとか、laxだとかといって非難しはしない。
あぁ、laxであることを言祝ごう。
もし君がもう小学生でないのなら、中学校の、高校の図書室へ忍び込もう。あ、夏休みだ。図書室は閉まっているかな?
では街の図書館へ忍び込もう。
街の図書館も安全だ。新聞を広げている大人たちは、君に気づきはしない。
だから、そこにあるすべてのSF本を、舐め尽くし、しゃぶり尽くし、嚥下せよ。
微に入り細を穿つようにして、君の想像力を立ち上がらせ、鍛え、発酵させ、すくすくと行き渡らせよ。まるでフラクタル図形が展開していくように。
図書館は君を守る。
そに立てこもり、その留まりの緊張を維持せよ。
そうして、君はいつか自分でも書くようになる。