子供のためのオルセー美術館(91)リボンの結び目/ドガ・青のパステル
今日のリボンは何色で?
パリオペラ座のバレリーナはこれからリハーサル、リボンをきゅっと後ろで結んで出番です。
あっちにもひらひら、こっちにも。
踊り始めたリボンは白いチュチュのバレリーナといつも一緒。つやつやのサテンのリボンは、するりひらりと舞台を飛びまわるのです。
ドガはそんなリボンを、パステルで描きました。
結び目は2度きゅっと。
黒と、あと薄い青が光ります。
このリボン、斜めに描いてあるけれど。バレリーナはどんなかっこうをしているんでしょう。
ああ、あそこに。
ちょっとかがんで、足首をマッサージしているバレリーナ。後ろにちらっと見えたリボンをドガは見逃しませんでした。
うつむいて、思わず下がった前髪も、
そのとき、ふわっと一緒に動いた空気も
ドガはパステルの描いた動きが見えるほど、素早くさささと描きました。
そして結ばれた青いリボンは、くっきりと。
さあ! バレリーナの出番は、これからです。
EDGAR DEGAS
Danseuse assise: penchée en avant, elle se masse le pied gauche vers 1881-1883
Pastel sur papier marron contrecollé sur carton
エドガー・ドガ
座るバレリーナ:前かがみに左足をマッサージする踊り子 1881-1883
茶紙にパステル
EDGAR DEGAS
Étude d'un noeud de ruban 1887
Pastel bleu et fusain sur papier gris-bleu
エドガー・ドガ
リボンの結び目の習作 1887
青灰色の紙に青パステルと木炭
Edgar Degas
La Classe de danse 1876
Huile sur toile
エドガー・ドガ
ダンスのレッスン 1876 今回は部分
油彩
お読みいただきありがとうございました。
バレエダンサーは、身体の動きをとことん表現しようとしたドガにとって、格好のモデルでした。パリのダンサーというと当時の大人の事情、ドラマティックな展開が好きそうな解説は横に置いて、ドガの描いた身体や衣服、空気までもの動きを感じていただければと思います。
ドガのパステルは、伝統的な技法を超えて、水で溶いたり砕いたり蒸気で温めたりと、さまざまな種類の線を試しました。また油絵具やテンペラをパステルと組み合わせることで、パステル画の復活に大きく貢献しました。
パステル画は、その保護のため展示期間も限られます。今回は昨年のオルセー美術館企画展の展示作品をお届けしました。