子供のためのルーブル美術館(45)動物がいる果物屋/20歳のモワヨン、知ってた?最強の女性静物画家
このブドウのおいしそうなこと!
手に取ったらちゃんと重さが伝わってきそうです。
まるで本物そっくり、生き生きと果物を描いたルイーズ・モワヨンは、まだ20歳になったばかりの女性でした。
モワヨンは、フランスで初めて、果物や野菜の静物画に人を一緒に描いたチャレンジャーでした。
これ、熟しているかしら?
マルシェに買物に来た女の人は、かごからあふれそうなたくさんの桃を持った売り子に聞いています。
いい絵を描こうと野心のある若いモワヨン。
黒い影や暗い縁どりを描いて、絵から浮き出て見えるだまし絵の技術を使いました。
薄暗い部屋の中で、暖かい色や冷たい色が混ざりあう果物は、有名なオランダ•フランドル絵画のようです。
あ、あそこ、大きなカボチャの後ろに猫が!
猫はおとなしくカボチャと並んでこっちを見ています。
あの猫、モワヨンのお気に入りの猫ちゃん? 黒い三角模様の顔の猫は、この絵をバランス良く見せているんですって。
今度、美術館に行ったら、こんな絵の前を通りすぎないで!
20歳の若い女性画家が描いた絵は400年前からひっそりと、今も皆さんを待っていますから。
Louise MOILLON
La Marchande de fruits et de légumes 1630
ルイーズ・モワヨン
果物と野菜売り 1630
お読みいただきありがとうございました。
フランス風俗画の第一歩をきざんだ画家のひとりが、20歳の若い女性だったとは驚きました。
モワヨン・ルイーズはジャック・リナールという画家とともに、人物と静物を組み合わせて描いたフランスで最初の静物画家でした。結婚するまでの10年間だけ絵を描いたそうで当時も育児が大変だったらしいです。まさか自分の絵がルーブル美術館に今日まで残るとは思ってもみなかったでしょう。
古い絵画は人気が今ひとつですが、名も知らぬ画家たちの描く調度品、籠、野菜の皮が何気なく置いてあったり、登場する動物の役割りを見つけるのもおもしろいかもしれません。