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空飛ぶよくりゅうになるために


のっしのっしと歩く大きなきょうりゅう
大きなつばさをはばたかせてゆうゆうと大空を飛ぶよくりゅう
きょうりゅうやよくりゅうはカッコイイ!
きょうりゅうやよくりゅうになりたいみんなにはルッカーからこっそり秘密を教えてあげるね。
ルッカーっていうのはぼくのよくりゅうの時の名前なんだ。
まずはよくりゅうになりたーい!って強くおもうこと。
それからお父さんにもお母さんにも秘密にしていつもよりずっと早く眠るんだ。
そうするとビックリ、
いつの間にかどこかの秘境に立っているんだ。
そこではきょうりゅうだってあるいたり、よくりゅうだってとんだりしてるんだよ。
そしてキミはきりたったけいこくの端に立ってるんだ。
下を見ると思わず後ずさりしちゃうくらい高い場所。
空気がピリピリとかわいていてじめんから熱気が伝わってくるようなからからしたがけの上は
高すぎて虫も飛んでいないくらい。

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そしてがけしたには
いろんな高さであちらこちらにはりめぐらされている、橋の代わりにもなる修行にだって大切な網があるんだ。
そりゃもう数え切れないくらいの網だらけ。
そう、
よくりゅうになるには修行をしなきゃいけないんだ。

見下ろすとあちこちのがけや網を飛び移って修行をしている人たちが世界中から来ているのが見えるよ。
でも今キミがその高いがけの上にいるのは試されてるからなんだ、
本当に、修行をする度胸があるのかって、
がけのはじから1番近い網まで飛び移ろうとジャンプ出来るかどうか。
修行は大変なんだ
高く高くのぼっていくうちにつよくなるのが修行なんだけれど、
網から落ちた時にちょっと運が良ければ近くの網に引っかかることが出来るけれど、運が悪ければ1番下の網に引っかかって、一番下からやり直ししなきゃいけなくなるんだ。
網が何重にも張り巡らされているから、だいたいどこかに引っかかる。

高いところに引っかかったらラッキー、
死んじゃうことはないけれど、一から出直すのはやっぱりちょっと大変だ。
さてさて、キミのいちばんちかくの水色とピンクの網までも大人の身長ふたり分くらいは離れてそう、
絶対飛べないなんて思わないで、飛んでやるぞーって気合を入れて、助走をつけて、目をつぶって思いっきり飛んでごらん。


あらら残念。やっぱりとどかなかったかぁ。

けれどその事で君の度胸は認められたんだよ。

網までは届かなかった、
下まで落ちるのもやっぱりちょっとこわかった、
でも
空中をヒューって飛んでいくみたいな気もして
身体中を撫でる風が、何だかきもちよかった。
早く飛べるようになりたい!ってキミは言ったね。

最初のテストのための網だから、落ちても地面ギリギリの下の網まで落ちるだけ。
みんなそこからしゅぎょうするんだ。
まずはきょうりゅうかとかよくりゅうのお肉を食べなきゃいけない。
きょうりゅうのお肉なんてなんだかゾワゾワしちゃうけど、、、。
下っぱの修行を始めたばかりの人にはもう修行をいっぱいして強くなったお兄さんやお姉さんがお肉を焼いて持ってきてくれる。
みんな仲間なんだ。
特に下っ端のなんにも知らない修行デビューの人には特別に優しくて、
みんな助け合って修行をがんばる仲間なんだ。
強くなりたかったら、強いきょうりゅうやよくりゅうのお肉を食べるのはつうかぎれいって言ってゆうかんに修行に立ち向かってきょうりゅうやよくりゅうみたいにどんどん強くなれるための決まり事なんだ。
それができたら勇者の印!修行にさんかできるようになるんだ。
きょうりゅうの肉はなんだか筋張って固くてほし肉みたいでちょっと舌がヒリヒリする。
地面ギリギリの網では、蜘蛛の巣みたいに頼りなくて、見たこともない虫が地面を歩いていた。
肌色の体に大きな目を持って身体中にトゲを生やした
はだいろとげぐも
とか
大きな赤いお尻をした
おおしりあかあり
とかね。
地面ギリギリの所は上とは違ってカラカラピリピリしていない?
なんだか蒸し暑いんだ。
修行はね、まずは網から網に飛び移ることとか、グラグラするあみの上でも怖がらずに歩いて次の場所に移動すること。網の上を側転で渡ったり、下にぶら下がって腕でわたったりするひとだっているんだよ。
それから崖から次の崖まで渡ったりも。
食べ物はやっぱりきょうりゅうとかよくりゅうの肉とか果物、それから彼らと同じ食べ物、そうしょくきょうりゅうが食べてるシダ植物とかって言うのはすごく苦くておいしくない。
やっぱり1番カッコイイのはよくりゅうかな。
網を渡ってドンドン上を目指すんだ。
肉を食べながら修行をしていくと、カラダがなんだかかわってくるよ。
ぼくは左の肩の骨がつばさの元になるようにゴツゴツと大きくなったし
それから肩から胸までピンクと紫の模様が出てきてそこには羽毛も生えてきた。
もっといっぱい修行をすると、筋肉が発達して胸の筋肉が大きくなって、飛びやすいからだになっていくんだ。
最初は紙ヒコーキみたいに羽を広げて風に乗って、風の力を借りて飛ぶ、かっくうっていうのをすることからおぼえるんだよ。
そうすると網から網、がけから向こうのがけまでの移動が少しかんたんになるんだ。
そしてそんな修行をどんどん続けていくと、肩や肩甲骨が発達して胸の筋肉も発達して、自分のつばさを持てるように少しずつ身体が変化していくんだ。

人だった頃よりも大きく強く勇敢で、じぶんでえものをつかんではゆうゆうと羽ばたいて飛んでいく、カッコイイよくりゅうになれるんだ。
自分の翼をはためかせて、自分の力で飛ぶことをひしょうっていうんだよ。
早く飛べるようになりたいよね。

でも、ちょっとたいへんなこともあるんだ。
人じゃなくなるから言葉を失わなければならないんだって。
でもジェスチャーも出来るし、鳴くことも出来る。
鳥とは話が出来るから、修行者たちの連絡は主にウミネコ通信ってやつなんだ。
海の近くが本部だけど支部はひきょうのあちこちにある。
そこでね、爪で「カカッカカカッカカッ」て音を鳴らすと情報を持ったウミネコ達が集まってくるんだよ。
この音を出すのはウミネコ通信で「メッセージたいきちゅう」って意味の信号なんだ。

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だれだれが、だれだれに、お茶が手に入ったからのみにおいでって言っていたよ。
とか、誰々がどこそこであなたをまってるってさ、とか。
なんだか頼りない伝言ゲームみたいな通信網なんだけれど、ウミネコ通信ができる場所はあちこちにあるから休憩所にも便利なんだ。
そうしてたくさん修行して、大空をゆうゆうと飛び回る強いよくりゅうになるまでにはうんと時間がかかるんだ。
でも一緒に頑張ろう!
2人ともよくりゅうになれたら、一緒に飛び回ろうね。
おっとと、キミにウミネコ通信だ。どれどれ、お母さんが
「朝だよ起きて
学校に行くんでしょ?」
って言ってるってさ。
残念、
きょうはよくりゅうになれなかったね。
だけどね、ぼくはひきょうのセンパイだから、またウミネコ通信でキミをひきょうに呼んであげるね。
ひきょうのお昼は日本の真夜中なんだ。
だから、いつもより早く寝る準備をして、寝る前に窓を開けてカカッカカッカカッってウミネコ通信を送ってよ、
今日は修行に行けるよルッカーって
ウミネコに伝えてね。
それを聞いたらぼくもウミネコ通信でキミを呼ぶから。
でも、ひきょうには眠っていないと行けないんだ。
だから、通信を送ったらはやくねるんだよ。
じゃあ、目をつぶって、10数えてごらん。
そうしたらキミは目を覚まし、いつもと同じく君の部屋だからね。
何度でも修行しよう、
大きく羽ばたくよくりゅうになれるまで。
あ!だけど、一つだけ気をつけて!
人が修行してきょうりゅうやよくりゅうになれるひきょうがあることは、ここに集まってくるみんな以外には絶対に秘密になんだ。
誰かに言ったらもうここには来れなくなるからね?


それからのこと、キミはほとんど毎日ボクを呼んで修行をしているね。
キミが初めてかっくうした時のこと、興奮気味に、鼻息を荒くして、風を切って、風に乗ってすごく気分がよかったって言っていたね、
絶対にわすれないって。
ボクは修行のセンパイだったから、ひと足早くひしょうできるようになったけれど、キミもきっともうすぐ、ひしょうできるようになるよ。
大空を飛び回ろう!
でもボクやキミが昼間は学校なんかに行ってるのに夜はよくりゅうになって空を飛び回っているなんて、誰も知らないんだろうな、
ウヒヒ

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