日本に本当に必要とされているのは、RPAではなく、iPaaSだと思う
こんにちは、Anyflowの坂本です。
RPAっていうワードをよく目にする方も多いんじゃないでしょうか。
2018年のバズワードって言われているそうです。
RPAといえば、こんなニュースが以前話題になっていました。
実験の結果として、RPAを試験導入した事務で、平均84.9%、最大99.1%の作業時間削減効果を確認した。
99%削減ってまじかよ。すごい。
いろいろRPAについて調べているうちに個人的に 「今、日本に本当に必要とされているのって、RPAなんだっけ? 」と思いまして、この note を書くことにしました。
そもそもRPAってなんだっけ?
RPAは Robotic Process Autimation の略で、簡単に言うとPCの操作を自動化してくれるロボットのことです。
よく、デジタルレイバー(仮想知的労働者)なんて言われたりします。
例えば、エクセルからエクセルにコピペして転記するとか、エクセルに入っている検索ワードをかたっぱしからGoogleで検索する、とかですね。
すでに仕事のやり方が確立されていて、フォーマットされている定型作業を「プログラムで自動化しちゃえばいいんじゃね?」という。
逆に、人の意思決定とかが介入するような業務はプログラムで自動化できないので、毎日やるようなルーティンワークとか、そういう無駄な仕事をなくして、本質的な業務に集中しようよ、労働人口もどんどん減っていくし。っていうニュアンスですよね。
すばらしいですよね。
で、iPaaSってなに?
iPaaSは、integration Platform as a Service の略でSaaSのようなクラウドサービスと、オンプレミス型のサービスを統合する製品のことです。
画像引用: アクセンチュア・クラウド・ダイアリーズ
具体的な製品名でいうと、Salesforceに約7000億円(!)で買収されたMulesoftや、日本でも一部人気があるZapierなんかも同じ類だと思います。
「自社で作ったシステムとSalesforceのデータを同期させたい!」っていう時に、自社システムにiPaaSのエージェントをインストールすれば、Webで連携が管理できるし、いい感じに繋がるみたいな製品です。便利。
2020年5月11日追記 : 更に詳しく iPaaS とはなにか?というのを解説しました👆
RPAは使い所が肝心
まず、個人的にRPAは使い所が肝心だなと思っています。
というのも、RPAはコンピュータのマウスやキーボードをシミュレートして操作するという製品なんですよね。
つまり人間がコンピュータを操作しているのをプログラムでシミュレーションしている。(マウスの場所を x座標100px , y座標100pxに移動するみたいな)
そして使い方によっては、RPAのロボットが普通に止まる。
せっかく頑張ってロボットを作ったのに止まる。
どういうことか?
たとえば「Gmailでメールを沢山おくりたい!」と思ったら、上の画像のように、RPAのロボットはメールの作成ボタンをHTMLの構造や画像認識によって特定するわけです。作成ボタンをクリックするぞ、みたいに。
ここでエンジニア的思考の方は気づくと思うのですが・・。
ボタンがなくなったらどうでしょう?
Googleが「UIかえるよー!」ってなった瞬間全部止まるわけですよね。
やばくないですか? 例えば1000社使ってたら1000社止まるんですよ。
つまり言いたいのは、SaaS・Webの操作ではなく、金融とか行政のめちゃくちゃレガシーでWindowsでしか動かない、バージョンアップもなかなかしないようなネイティブアプリを自動操作するのにかなり向いていると思うのですよね。
だってUI変わんないんですもん。👇こういうやつ。
画像引用: 登記ねっと
だからこそ、レガシーシステムが多い日本で爆発的に普及したんだと思います。こんなにRPAが盛り上がってるのは日本だけです。
グローバルの"RPA"というワードで検索ボリュームを見ると、半数が日本からの検索らしいですね。
一方で、iPaaSが優れているのは、コネクターと呼ばれる部品があり、サービスのAPIを使って読み込みや書き込みをして、他のサービスとデータをマッピングして統合している部分なのかなと。
つまり、仕様変更に強い。
UIが変わっても動き続けるし、RPAはサービスプロバイダーからするとスクレイピングみたいなことをしているので、あまり好ましいものではないのですよね。
APIはもちろん公式的に用意しているので、サービスプロバイダーも容認しているわけです。APIのレスポンス構造を急に変えることはほぼないので、変更するとなっても、ある程度バッファをもって開発もできます。
RPAもiPaaSも別物だと思いますが、「定型作業を自動化する」というものさしで測ると結構似ている部分がありますね。
iPaaS事業が次の波だと思う理由
一言でいうと、オンプレからSaaSにシステムが推移しているから、です。
SaaSの市場規模は年間15%で成長していて、オンプレのレガシーシステムからSaaSにリプレースすることはあっても、SaaSからオンプレのレガシーシステムにリプレースすることってあまり聞かないですよね。
実際日本のSaaS利用率も増えています。
そしてSaaSは単体でも便利ですが、連携すればするほど便利になっていく構造をしています。ChatworkからSlackに乗り換えた人はよく分かると思います。
つまり時代の流れ的に、オンプレからSaaSになっていくわけです。
日本は労働人口が今後30年で2000万人以上減っていく。
そうなるとオンプレで運用してると開発費、保守費もかかる。一人ひとりの生産性を上げていかないと駄目なことがわかりきっているわけなので、必然性があるなと思います。
なのでまとめるとiPaaSが次の波だよね、と私が思うのは
1. オンプレがSaaSにリプレースされていく。この流れは止まらない。
2. SaaSからオンプレのリプレースはほぼない。
3. SaaSはAPIを公開しないと価値を最大化できない。
4. RPAはSaaSの操作に向いていない。
5. SaaS間を連携するにはAPIが向いている。
という理由から、RPAじゃなくてiPaaSが次の波じゃないか?と思っています。
RPAを批判してるのではなく、使い所が肝心だよなと思っています。
自社が管理するWebシステムとかだったらUI急に変わらないですし。そういう部分だと便利ですよね。APIをいちいち作らなくて良いので。
そして、日本のiPaaSを盛り上げねばいけない
僕はiPaaSは日本の産業のオセロの四隅だと思っています。
1. 海外のiPaaSが導入されていく(Mulesoft、Zapierとか)
2. 当然、海外の強いSaaSにだけ対応している
3. 日本のSaaSに対応していない
4. 日本のSaaS産業が衰退しちゃう
例えばこういう負のループが起こりうるなと。
具体的に言うと、ChatworkとKibelaを使っている会社がワークフローを最適化するためにZapierを導入しようとしたら、Zapierが日本のSaaSに対応していなかったと。
そのため、乗り換えてSlackとConfuluenceにする、みたいなことが起きているわけです。
というので、iPaaSの普及はまだまだこれからだと思っていますが、これが更に普及していくと、マジでこういうことが起こるので、正念場だなと。
つまり、日本の産業としては日本のiPaaS、日本のSaaSを守らねば、あとからじわじわと削られていき、衰退していってしまうんじゃないかなと思うわけです。
最後に
ということで今回はiPaaSが来るぞ、というnoteを書いてみました。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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