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土曜の夜はのんびりと。技術と可能性と労働法

こんばんは。lotterです。
記事をのぞいていただきありがとうございます。

AIに仕事を奪われるとか、5Gで革命が起きるとか色々言われています。

わたしは、科学技術の進歩は人の可能性を拓くものだと思っています。

みなさんはどうでしょう?

あんまりそっち方面に詳しくないのですが、キャッシュレスが進めば日本のお金に親しみのない外国の方にとってレジ係のハードルが下がるし、パソコンの進化は障がいを持っている方が働ける環境を広げるな。

なんてことをぼんやり思っています。

1.技術と労働法

でも、労働法はそれにあんまり対応していません。

正確にいうと、

そこにあんまり興味がない

のです。技術の進歩そのものにはもちろん関わっていませんし、新しい技術を使うかどうか、使うとしてどう使うかは基本的に会社の自由です。

「基本的に」と言ったのは、それが差別や人権侵害、あるいは公序違反の場合なんかはそうでないから。

例えば、HRテックがもっと普及して、今までにないくらい従業員についての情報が収集でき、統計的に処理できるようになったとします。
そこでは各従業員の行動特性が属性とともに把握され、「どんな特徴・属性を持っていれば成果が上げやすいのか」が統計的に判明します。

しかし、その情報収集は、たとえ社内での行動の把握だったとしても、場合によってはプライバシーと衝突することがあります。

というか、いくら社内だからって自分の行動のすべて(いつご飯食べたとか、何回トイレに行ったとか)を把握されるのは気持ち悪くないですか・・・?

また、統計的に判断することが差別につながることも懸念されています。

例えば、統計的に男性の方が成果を上げているという結果が出たとします。それに従って、男性しか採用しなくなると、それは性差別(男女雇用機会均等法という法律違反)になりそうです。

なりそうですが・・・その根底には実は大きな問題が潜んでいます。

まず、会社にとって望ましい人物(より大きな利益をもたらす人物)を優先的に雇うというのは、会社の経営にとって非常に重要な行動です。

そのため、「望ましいかどうかの判断に統計的な結果を使ってはならない」とはさすがにいえません。これは会社の自由です。

こうなってくると、統計的な結果には、

許される使い方と許されない使い方がある

と大雑把には言えそうですが・・・

どこでどうやって線を引くか

なんせこれが難しい!

2.技術と平等

差別というのは、抽象化した属性をみて個人をみないことによって引き起こされるわけですが、そもそも平等というのは抽象化しなければ成り立たない概念です。

個人そのものを裸のまま見ていたら「みんな違ってみんないい」が暴走して、平等の議論はできません。

自分はこう思う、こうしたい、これが良い、というのを全部フラットに受け入れるということですから。

この抽象化をどのような基準でどのような範囲で行うか。これが自由と平等の調整の鍵を握ります。

今は、平等の議論をするときにはかなり抽象的。同じカテゴリーに入っちゃえば個人の事情(違い)はほとんど気にされません。

でも、わたしは、科学技術の進歩が、今よりも平等の視点を個人に近づけていく未来を想像しています。

性や国籍みたいな個人の持っている基本的で変えられない属性の違いを、技術のおかげで良い意味で無視できるなら、かえって一人一人の個性に目を向けて判断することができるのではないか。

あるいは、現実として違いは無視できないけど、それよりももっと大事な個性を「観測」して活かすことが簡単にできるなら、そっちの方がより大きな利益をもたらすかも。

だからやっぱり、技術が人の可能性を拓く未来を、労働法も考えなければならないと思うのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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lotter/弁護士・大学院生・フリーランス
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