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ねこねこ meets …【物語と素敵なストア】
ご主人が、猫なで声で呼ぶ。
こんなときは、ジッとソファの下かタンスの上に隠れていた方がよい。動物病院に連れていかれるときのパターンだ。
フンッ…、見つかったか。
じゃらしを使ってもムダだぜ。今、そういう気分じゃないんだ。さっきキャリーを棚から降ろした音が聞こえたし。病院、で決定だろ?
どこも悪くないっつーの!いたって健康!
高くて不味いフードのおかげで俺っちは元気ですってば。
え?ちょい待ち…。手に持ってらっしゃるのは、ちゅっちゅちゅ~るでは?
クンクンクン…))
え、やだ…大好きなまぐろ味なんですけど。
オッケー、ちょびっと舐めたら逃げる。
ペロン
うまっ!✨️
ペロペロ
うんまっ!✨️✨️
なにこれ、ヤバない?プレミアムじゃないの!
あっ、うそっ!やぁ~めぇ~ろぉ~よぉ~~!💢
🐈️🐾
俺っちはご主人に噛みついたりしなかった。こいつは嫁入り前だからな。
キャリーに入れられ、車に乗せられた俺っちは、まな板の上の鯉。煮るなり焼くなり二宮かずなり!好きにしろってんだ。
ん?ここ、病院じゃないぞ。
なんだか懐かしい匂いがする。松の木が窓から見える。
俺っち、たぶん知ってる。昔、ここにいた。
そうだ、ご主人とはじめて会った場所。外でお母ちゃんとはぐれて鳴いていたところ、ここの人がまだ小さかった俺っちを連れ帰ってくれて、毛布とごはんをくれたんだ。
ご主人がそっと段ボール箱の前に俺っちを降ろす。甘い匂い。箱の中を覗くと、小さな小さなねこねこが、青い目でこちらを見上げてる。
7匹いる内の1匹が、箱の縁に前足をかけて背伸びした。俺っちの顔に近づいて、ペチョンと鼻キッス。
その瞬間、得体の知れない感情が、耳からしっぽを貫いた。
俺っちは無我夢中で、その小さな額をペロペロと舐めた。ご主人とここで会えたときと似た、それともまたちょっと違う感情。
うれしいうれしいうれしい
これはもう、うんめえだ!
ねえ、ご主人。俺っちこいつが好きだ。こいつも俺っちのことが好きらしいぜ?
🐈️🐾🐈️🐾
帰りの車内。俺っちは子分になったこいつに教えてやった。
いいか?これは車ってやつだ。大抵、俺らが乗せられるときは病院へ連れて行かれるとき。
けどな、たま~に、こういう粋な計らいをしてくることもあるんだよ。
ご主人はな、俺っちがいないと生きていけない弱虫なヤツなんだ。でも、いつも美味しいごはんと温かい寝床を用意してくれるし、悪者が俺っちに何かしようものなら、鬼の形相で追い払って守ってくれる頼もしさもある。
わかるか? むずかしいかな?
大丈夫。オマエもじきにわかるさ。
ご主人はきっと、俺っちの次にオマエのことも大事にしてくれる。どうしたって、ご主人のナンバーワンにしてオンリーワンは俺っちなんだけど。その分俺がオマエの面倒見てやるから、安心して幸せになれ。
さあ、これから忙しくなるぞぉ~!
~ おしまい ~
最後まで読んでいていただき、ありがとうございました😸🍀
見出し画像はmocmocさんのイラストです😻
先週、mocmocさんのストア『Pine Street』から、とびきり可愛いねこちゃんのポストカードが届きました🎵ありがとうございます!✨️
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夢のようなねこ世界が広がるイラストに、次はどんな絵が登場するのかな?とワクワクします。
ぜひ、遊びに訪れてみてくださいませ😽💕