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中小零細企業の人材確保
個人的にはメジャーリーグが好きで、毎日チェックしているのですが、今シーズンもメジャー契約26選手の年俸が高いチームが必ずしも上位にはおらず、30チーム中28番目のタンパベイレイズが圧倒的強さで独走しています。他には29番目のボルティモアオリオールズが同地区2位(全体でも2位)です。
一方で1番高いニューヨークメッツは最近連勝していますが、5割を少し超えたくらいの勝率。3番目のサンディエゴパドレス(ダルビッシュ投手のいるチーム)4番目のフィラデルフィアフィリーズはBクラスという状況です。
もちろんシーズンが終わる頃には順位も変動しているかもしれませんが、それにしてもメッツとレイズの年俸格差は4.5倍ですから、年俸が高いチームが必ずしも勝つとは限らないということです。
チームワークとかチームの方針とか若手の台頭とか様々な要因があると思いますが、レイズにしろオリオールズにしても、年俸が決して高くないチームでも、個人個人の能力の高さが傑出しており、実際に個人成績でもそれらのチームの選手が上位に出てきています。
何年も欠かさず毎日、必死にスカウトメールを打っている立場からすると、人材確保は数年前から困難を増すばかりです。コロナ禍前から現在まで、状況が日々悪化しています。
それはそうです。氷河期世代が50を迎え、その下の世代からどんどん人口が減っています。
今まで企業の皆さんが仰っていた「転職回数」「年齢」「〇〇の経験5年以上」などの人材を確保することは不可能になってきていると思います。さらに、たまにこちらが自信を持って推薦した方を会いもせずにNGにしたりとか、細部のこだわりでNGとかしていると、次の人材に行き着くまで何ヶ月待てば良いのでしょうかという状況です。
良い人材は必ず競合し、条件の良い(必ずしもお金ではない)企業に取られます。知名度、成長性、企業価値、もちろん年収帯・・・それらが高い企業が圧倒的に有利であり、プライム上場企業であっても大苦戦。ましてや中小零細など見向きもされない状況です。
それでも誰かしら人は辞めるでしょうから補充しなければならない、時代に合わせて新しいこともしていかなければならない、売上を作っていかなければならないとなると、求人からは逃げられません。
昔みたいに求人広告を出せば、応募があるということはありません。応募はあるかもしれないですが、求めている人材である保証はありません。
人材会社に頼めば、誰か紹介してくれるだろうというスタンスであっても、先ほど書いたように、見向きもされないのが現状です。
そこで、メジャーリーグの話に戻ります。
お金も人気もないチームが、無名な選手を集めて成功した代表例が映画「マネーボール」で知られているオークランドアスレチックスです。
https://www.youtube.com/watch?v=8Ln0ySlnxOs
勝つために必要な、統計データを駆使して、ある指標を元に、現時点では低評価な選手を集めて、見事に優勝させることができました。
それが知れ渡ると、各チームは同じことを行ったため、似たようなチームばかりできるようになります。
その後に、同じく統計学からピッツバーグパイレーツの「ビッグデータベースボール」や「フライボール革命」「フレーミング」に代表されるヒューストンアストロズの「アストロボール」なども有名になりましたが、独特の「指標」を元に選手を集めて強いチームができました。
それを「企業の採用」にどう活かすのか。
人事は投げた、打った、走った、守ったの野球とは異なりますし、中小企業がビッグデータを駆使することは難しいと思います。
でも、その会社で長期に活躍している(た)社員、最近成長を感じる社員には、ある共通点があるはずです。
「字がきれい」「話し方やメールが端的」「明るい」「スポーツマンタイプ」「オタク的要素がある」などキャラクターによるものなのか、もしかしたら採用時の「職務経歴書」や「志望動機」に共通している文言が入っているかもしれませんし、社内を案内した時の反応やちょっとした会話から見える部分があるかもしれません。
一度、要件を最低限譲れないものだけにして、自社なりの「指標」を作ってみることが、これからの人材確保に欠かせないことであると思っています。