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イタリア滞在記[2]_45【L, A「「ニコちゃん、ありがとう!」」】(2022.9.9)

午前7時半。起床後バスルームへ行き、鏡の前で伸ばしかけの髭と睨めっこを終えた親友で同居人のアンドレアがリビングへ入ってきて、色鉛筆を箱の中へ片付けている僕に向かい、口を開いた。
「おはよう。具合はどう?もし、今日、治らなかったら病院に...」
 
「行かない。そんなことよりさぁ、これ見て!」
僕は、スマホの画面にとある画像を表示させて、言った。

※スマホに表示させた画像がこちら↓


※この記事(上のリンクの記事ではなく、今あなたが読もうとしてくださっているこの文章)は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話のみで構成されているので、どちらの発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはAを、「」の前に付けてお送りしたいと思います。


L「麻衣ちゃんが僕たちの絵を描いてくれたんだよ」

A「麻衣ちゃんが?」

L「うん。あ...麻衣ちゃんが、っていうか、ニコちゃんが描いてくれたんだけどね」

A「...ニコちゃん?もしかして彼女、お姉さん(もしくは妹)がいるのか?だったら紹介してくれるように頼んでよ」

L「黙れ変態。ニコちゃんは、麻衣ちゃんが書く物語の登場人物なの!ほんと節操ねぇな...」

A「...物語の登場人物が俺たちの絵を描いてくれたってことか?」

L「そうだよ」

A「www」

L「...なに笑ってんの?」

A「いや...子供同士の遊びは微笑ましいな、と思ってwww」

L「僕は子供じゃない!いいから見てみろよ、びっくりするから!」

A「どれ?...ぁあ」

L「な?僕もファイル開いたとき、びっくりしてさ!麻衣ちゃん...もといニコちゃんの絵が上手いことは知ってたから、それは別に驚かなかったんだけど...って、なんで睨むの?」

A「あれほどブログに人の写真を載せるなって言っただろ!」

L「載せてねぇよ。去年、みんなでPK1やった時に撮った僕とルイージの写真は載せたけど、それしか載せたことない。そのときはお前にも許可を取っただろ!マスクしてニットの帽子を被ってるし、顔にモザイク入れれば載せてもいいって、お前言ったじゃん!」

A「あの写真からこの絵が描けるわけないだろ!」

L「だから僕もびっくりしたって言ってんの!髪が黒のツーブロックだってブログに書いたことはあるけど、ここまで似せてくるとは思わないから...」

A「...じゃぁ想像だけで描いたのか?だって...こんなに似て...」

L「そうなんだよ。すごいだろ」

A「うん...」

L, A「「こっち/君 のほうが100倍 かっこいい/憎たらしい けど、そっくりだよな」」

L「...なんか言ったか?」

A「いや、別に...俺を描いてくれるのは二回目だね。今回は髪の毛を少し短めに描いてくれてる。耳付きでw 相変わらず上手いなぁ...でもさ、絵の中の俺、なんで泣いてるの?」

L「髭がなかなか伸びてこないからwww」

A「...ブログに書いたのか」

L「睨むなよ...大丈夫!『もうベアトリーチェに髭を撫でてもらえない』って半泣きになってたことは書いてないから」

A「...ローリス、もう一枚だけ君自身の写真をアップする許可をやる」

L「お、この絵と僕の写真を並べてブログに載せてもいいってこと?」

A「そんなわけないだろ。君だけじゃなく関係者含めて顔写真なんか載せたら、君は一生、外出禁止だ」

L「じゃぁどんな写真だったら載せていいんだよ?」

A「俺が撮ってやるから後ろを向いてツーブロックの上の部分を掻き上げろ」

L「...やだ」

A「髭がないことをからかったのは君だろ。だったら俺だって同じことをしても構わないよね?」

L「そんなわけねぇだろ!円形脱毛症は病気なの!病気をからかうなんて、お前最低だな!」

A「腸の炎症が悪化した後は必ず脱毛症になるってわかってるのに、病院にも行かず薬も飲まないで放っておいたのは君だろ!来週中に下血が治まらなかったら、再来週の旅行は中止だからな!...というか、移住先の視察が目的で行かないわけにはいかないから、君はルイージの家に置いていく」

L「うるせぇな、わかってるよ!大丈夫だって言ってんだろ!」

A「昨日から短時間の外出すらできないくせによく言うよ...」

L「今、飲むヨーグルト飲んで治してるところなの!それより、せっかくニコちゃんが僕たちの絵を描いてくれたんだから、今日くらいは仲良くしようよ」

A「まぁ、それはそうだね。でも、来週の月曜日に治ってなかったら、引きずってでも病院へ連れて行くからな」

L「...はいはい」

A「...ところでさ、絵をプレゼントしてもらったってことは、俺たちもお返しをしないといけないんじゃないか?そうだ、二人で麻衣ちゃんの絵を描いて...」

L「ばか!そんなことしたら名誉棄損で訴えられるだろ!」

A「でも、女性から贈り物をされて何も返さないっていうのは...」

L「だからってピカソの抽象画みたいなのを送り付けて、『はい、これがあなたです』とでも言うつもりか?そっちのほうが失礼だろ!」

A「...そんなに下手かな」

L「下手だよ。でも、僕も何も返さないのは失礼だと思ったから、一応、お返しはしたんだよね...」

A「お返しは『した』?」

L「うん...」

A「何を?」

L「...ニコちゃんのイラスト」

A「描いたのか?君が?」

L「...なんだよ、うるせぇな!こういうのは気持ちが大事なの!一生懸命描けば、ちょっとくらい下手だって...」

A「見せてよ!」

L「やだよ!僕は麻衣ちゃんにあげるために描いたの!お前に見せるために描いたんじゃない!」

A「見るくらいいいだろ、減るもんじゃないんだから。どこに隠したんだ?ここかな?」

L「あっ、色鉛筆の箱開けんな!なんで一発でしまった場所を当てるんだよ?!」

A「...だって、いつも君が散らかしたものを片付けてるのは俺だもん。何がどこにあるかくらい簡単に想像がつくよ...お、これかぁ」

L「見るな!」

A「...君さ」

L「...なんだよ」

A「絵がどうこういう前に、どうして方眼紙に描いたんだ?」

L「えっ?それ、麻衣ちゃんにも言われた...絵って方眼紙に描いたらいけないの?」

A「いや...仮にも人に贈る目的で描くのなら、ふつう方眼紙には描かないだろ。しかもこれ...ノートの切れ端だよな...」

L「だって、紙なんてノートしか持ってないもん。でも、切れ端じゃないよ。ノートの上の方に描いて、はさみで切ったの」

A「やっぱり俺が油彩の肖像画を...」

L「だから、やめろって」

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