ドイツで保育士が病欠になるとどうなるのか
夏が終わると、ドイツの気温差は日々激しくなります。急に寒くなったと思ったら、また暖かくなったり。日中は16度くらいなのに、夜は8度で次の日の最高気温は10度なんてザラです。
こういう日が長く続くと、体調を崩しやすくなりますよね。私の経験上、ドイツ人たちはすぐに風邪をひきます。保育士の話に入る前に、一般的な病欠のお話から書いていきたいと思います。
病欠届(Krankschreibung/Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung)
ドイツのいいところは、病気になっても有給を使わなくていいところです。日本は、病気でも這ってでもいったり、有給を使わざるおえないですよね。ちなみに、知り合いの韓国人曰く、韓国も日本と同じそうです。
ドイツでは病院に行くと、医者が病欠届を出してくれます。会社によって異なりますが、初日から必要なところもあれば、遅くとも4日目から必要というところもあります。つまり、最初の3日間は病欠届なしでも会社を休めるのです。飲食業などは、だいたい初日から必要だそうです。なぜなら、人が休む(さぼりも含め)傾向が大きいからです。
この病欠届が会社に出されると、保険会社は会社に一部給与の補填として支払います。最初の6週間までは100%の給与が会社から保証され、それ以降同じ病気を理由に休む場合は給与の70 %(額面)が保険会社から個人に直接支払われます。
ちなみに、長く病欠でいたり、頻繁に長期病欠になると保険会社から疑われる場合があり、証明できない場合は支払ったお金の返金を要求されることもあります。
知っている例では、ヘルニアで長期休んでた人が実際返金を求められ、返金したそうです。(つまりは、働けたのにずる休みだったのか?)
こういう仕組みがあるので、日本人のように、「体調管理も仕事のうち」なんという考えは微塵にもないと思います。
また、有給休暇の前後に病欠届を出す人たちもかなりいます。旦那の会社には、毎回休暇後に病欠で1週間休む人がいます。上司に何も言われないのがすごい不思議です。会社によっては、そんな偶然起きるほうが珍しいので、警告文を出すところもあるはずです。
便利な病欠届、医者と仲がいいとどれぐらいの期間の病欠が欲しいの?と聞いてくる人もいます。また、コロナ以降、医者によっては電話だけで病欠届を出してくれる人もいるそうです。ただ、本当に病気という診断がされていなく安易性からも、疑問の声は上がっているようです。さらに、ドイツで毎年問題になっているのが、年々病欠届の数が増えていることです。
先日、2024年9月末の段階で、病欠届の数は最高数に到達し、TK保険会社の570万人の被保険者が、9月までに平均14.13日の病欠届が出されていることが報道されていました。参考までに、コロナ前の2019年では平均11.40日、去年は13.82日だったそうです。
もちろん病気なら病欠を取得する権利はありますが、会社にとっては頭痛の種です。当然、病欠しやすい人は会社からいい印象は持たれないです。休んだ人の分を別の誰かがフォローしなければいけないですが、旦那の会社(ドイツ企業)を見ていると、復帰するまで放置されている案件も割と多いです。また、6か月の試用期間中に休みまくったら、契約を切られる可能性は高いです。
保育士の人手不足
では、保育士が病欠や休暇が重なり人手不足になるとどうなるのか。
答えは保育時間が短縮、最悪は保育園全体もしくは該当するグループがクローズとなります。
今まで娘の保育園ではそんな気配はなかったのですが、ついに先日連絡が来ました。
これで終わるかと思いきや、10月28日に続報がきました。
このようなこと日本ではおきますか?私の親曰く、日本なら強行突破で進めるのではないかと。
労働者側(保育士)にとってはいいですよね。ただ、親としては結構困りませんか。時短勤務や職場の近くで預けている人は、さほど影響は出ないかもしれません。
しかし、以下知り合いの保育園の場合はどうでしょうか。
知り合いの保育園の時短例
補足ですが、知り合いの保育園は、0歳-6歳までの混合になっています。
*グループ1:3歳未満の子供 (最大18名のグループ)
*グループ2:2-4歳の子供
*グループ3/4:3ー6歳の子供
また、上記時短措置はすでに3週間続いているそうです。
結局、病欠で不在の人の分を元気な保育士が無理してカバーして、病欠の人が復帰したら、元気だった人が体調を崩すパターンが多いようです。
さらに、3年以内に合計14人の保育士が辞めているそうです。
そのため、ここの保育園は常に慢性的な保育士不足となっており、このような連絡は日常茶飯事、16時まで預けられるのに、週1で14時までのお迎えが求められたりするそうです。
ここまできたら、保育園のマネージメント体制の問題でもあり、本来であれば園長が変わるべきなのでは、と思います。
子供も保育士が頻繁に変わり、好きだった保育士がいなくなったらきっと混乱するでしょうしね。
保護者会でも常に議題に上がるそうですが、保育園側の言い分としては、「フルタイム勤務の人材を探しているが、時短勤務を希望する人ばかりで見つからない。」だそうです。
どう思われますか。13-16時まで預けられるというのは、ないよりはあるほうがましなのでしょうか。午前中家で働いて、お昼に預けて3時間後には遅くとも迎えに行くなんて、全員ができることではないです。
私なら、1日家で面倒見ながら在宅で仕事をするというパターンになりそうです。有給を取る人もいるようですが、保育園にお金を払っているのに正直休みたくはないです。
臨時保育も18人中3人ですよ?争奪戦の早い者勝ち。連絡が各自にいってから、10分以内に枠は埋まっていそうです。
知り合いも保育園を替えたいのはやまやまですが、保育園をやめないと、新しい保育園を探すことはできないそうです。また、保育園探しも簡単ではないので、1年近く見つからない可能性もあります。それを考慮すると、リスクが高すぎるため、替えられないそうです。
保育士1人当たりの子供の人数
ドイツは、保育士1人当たり何人まで面倒を見ていいかというのは、各州で人数が異なってきます。
赤色で線を引いたのがドイツ全体の平均値です。
1:3歳未満の子供のグループ
2:3歳以上小学校入学までのグループ
3:小学校以上の子供のグループ(日本でいう学童)
4:2歳から6歳まで(小学校入学前)の混合グループ
5:小学校入学前後の混合グループ
日本は調べたところ、0歳児が3人、1・2歳時が6人、3歳児が20人、4・5歳児が25人のようですね。2歳ぐらいまではさほど変わらないのに、3歳から20人にあがるとは驚きです。日独での違いは、日本は年齢別のクラス/グループが多いですよね。ドイツは基本、年齢が混在しています。とはいえ、日本の基準値は各国に比べても人数が多いようです。
共働きが増える中、保育士・幼稚園教諭の職業は必要不可欠です。ドイツでも日本同様保育士の賃金は低いほうにあたり、頻繁に問題視されていますが、改善はあまりされていないように思えます。
保育園代金は返金になるのか
頻繁に保育園都合で保育園に預けられないとなると、気になるのがお金です。毎月食事代込みの保育園代を支払っていますが、預けられないとなった場合、最低でも食事代分は返金となるのでしょうか。
食事代を抜いた保育園代は、ある意味在籍代金みたいなものなので払わなければいけないかもしれませんが、実際食べていない食事代金は返してもらいたいと多くの親が言っています。
しかし、答えは残念ながらNOです。もはや子供は保育園に行けず、お金を寄付している状態ですよね。そりゃ、不満も積もるばかりですわ。
最後は結局祖父母頼み
共働きで保育園に預けられないとなった場合日本はどうなるのでしょうか。ドイツはかなりの高確率で近所に祖父母が住んでいるので、きっとみんな祖父母に預けて仕事に行くのかと思います。
我が家は、近くにいないのと預ける気はさらさらないですが。旦那の祖母は「いつでも預かってあげるわ。」と言っていますが、いまだに1対1で娘の相手はできないですし、お菓子やら食べ物やら好きなだけあげそうなので、断固拒否です。
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