秋の雨
傘を打つ雨粒は小さくとも
含まれる秋の深まりは
しっかりと僕の体から
温もりを奪っていく
降りしきる雨音が
街の騒音をかき消してしまって
なんだかこの世界に
僕達だけしかいなくなって
しまったみたいだ
柄を握る僕の手に甘える様に
しがみついた秋の深まりは
どうあっても離してはくれない様子
僕の体をふるふると小刻みに揺らしてくる
靴もズボンの裾もびしょびしょだ
ああまいったなあと
一人小さく呟きながらポテポテ歩く道すがら
秋の色づきに染まった紅葉の葉っぱが
水溜りの底からゆらゆらと揺れながら
僕達の事を楽しそうに見上げていた