コインランドリーの夜
金曜の夜、23時過ぎ。
会社から帰ると、缶ビールを開け、ジーパンとTシャツに着替え、コインランドリーに向かった。
一週間分の洗濯物を処理する。明日、明後日は、久しぶりの休みなのでゆっくりしたい。現実的な作業は今日中に済ましておきたいのだ。
そして、コインランドリーの帰りには、コンビニに寄って明日の朝食用に菓子パンを購入するのだ。これで明日の午前中は何もせずに過ごせる。
コインランドリーは好きだ。回転しているドラムを見るのが好きだし、その横に置いてある雑誌をパラパラと眺めるのも好きだ。忙しく仕事をしている機械のかたわらで、無為に時間を過ごすのが癒される。人間は自由すぎると逆にストレスを感じる事がある。コインランドリーは、その場を離れる事はできるが、完全な自由はなく、その緩く束縛されている感じが心地良いのかもしれない。生産的な事が出来なくても言い訳が立つので、後ろめたさを感じることなく、非生産的な時間を過ごす事ができる。そして、僕の横では、僕の身代わりに生産的な仕事がぐるぐると回転しているのだ。
ぐるぐると回転している機械を見ている時は、何故か無心になれる。何故だろうか。大学生の頃にパチンコをしていたが、パチンコの面白さはギャンブル性ではなく、現実逃避だ。うるさいパチンコ台の音に包まれ、没入することで一時的に現実から離れられる。コインランドリーもそれに近い感覚がある。
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