とりあえず、コハダはトロより美しい
夫がお鮨をご馳走してくれた。
美味しいものって、綺麗だ。
鮮やかな朱縞がいきいきとした海老には、ミソも余さず握ってある。
煮詰めて照りをだした干瓢。山葵がしっかり効いているので通な味だ。
握りの前にいただいた万願寺唐辛子や、鱧、鮎も美味しかった。
鮎は、山間の観光地で食べる“雰囲気で美味しいもの”だと思っていたが、開き干しにして香ばしく焼いた鮎は、ほどよく脂がのり、身がふっくらとしていた。
茶碗蒸しも趣きがあった。
あえて熱々で出し、上から少しずつ食べてもらえるようにしているそうで、出汁と椎茸→金目鯛→青銀杏と三段回の味をたのしんだ。
もちろん、鮪もいただいている。
当然に品良く脂がのり、美味しい。
でも、より
「うんまっ!」
となったのは、いつもだと脇役としてさらりと味わってしまうネタたちだった。
あ、、、
コハダは、そもそもとても好きなので、別格である(山葵ではなく、柚子胡椒で驚いた)。
そして、やっぱり美味しくて、綺麗だ。
最後に、玉子焼きとデザートが出てきたのだが、
驚きの連続だった!!
まさか、鮨屋で珈琲までたのしめてしまうとは!!
握りながら、作り手の工夫や思いを聞かせてもらうこともできて、貴重で楽しい時間を過ごした。
帰り道、
「素敵な時間をありがとう」
と、夫に伝えようとしたのだが、
(パチンっ)
(パチンっ)
うしろを歩く夫の方から、奇妙な手拍子が聞こえてくる。
「なに??」
振りかえると……
謎に“すしざんまい”ポーズを繰り返している……
そうだ、、、
彼はめずらしく、日本酒を飲んでいたのだった……
とりあえず、貴重な時間が“奇妙な時間”に変わってしまったことはいうまでもない。
夫へのお礼は
「寿司ネタの味を忘れるほどの“話のネタ”をありがとう……」
に変えようと思う。
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