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【短編小説】夜の迷路

布団に入って、目を閉じる。
深く息を吸い込んで、静かに吐き出す。

 眠ろう。もう遅いし、明日も早い。
考え事をやめて、意識を手放すんだ。

 ──のはずなのに。

 頭の中は止まらない。

 さっきの会話、変じゃなかったかな。
あの人、あの時ちょっと表情が曇った気がするけど、何か悪いこと言った?
そういえば、明日ちゃんと起きられるかな。
遅刻したらどうしよう。
仕事でミスしたら?
上司に怒られたら?最悪、クビになったら?

そんなこと、考えたって仕方がないのに。
起きるはずのないことまで想像して、不安になって、眠れなくなる。

 時計を見る。もう1時を過ぎてる。

 「寝なきゃ……」

 焦れば焦るほど、頭は冴えていく。

仕方なく、スマホを手に取る。
SNSを開くと、どうでもいいツイートが流れてくる。「低気圧しんどい」「明日行きたくない」「寝れない」……似たようなことを考えている人が、世界にはたくさんいるらしい。

それを見ても、安心するわけじゃない。
むしろ、目が冴えてしまう。

 画面を閉じて、YouTubeで「眠れる授業」と検索する。適当に選んで流してみると、穏やかな声で歴史の話が始まった。

内容なんて頭に入らない。

ただ、誰かの声が聞こえていると、
少しだけ心が落ち着く気がする。

 このまま眠れるかな。いや、どうだろう。

 結局、気づいたら朝になっている。

目を開ける。
カーテンの隙間から、うっすら光が差し込んでいる。

 「……昨日、あんなに考えたのに」

 何も変わらないじゃん。

結局、考えすぎても何も変わらない。
ただ、疲れが残るだけ。

それでもまた今夜、
私は布団に入って、
目を閉じて、
考えなくてもいいことを考えてしまう。



「みなさんも眠れない夜に考えなくてもいいことを考えてしまうことはありますか?」

昨日の夜、あんなに考えたのに、朝になれば何も変わっていない。わかっているのに、また夜が来れば、同じことを考えてしまう。

 もし、そんな夜を過ごしたことがあるなら、どんなことを考えましたか??

コメントいただけると嬉しいです。☺️

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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