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『Cloud クラウド』〜正体が分からない恐怖より恐ろしいものはない〜


1.はじめに

珍しく?友人に誘われて本作品を観賞した。その友人とは高校の部活からの仲で今でもよく遊びに行くが、映画に誘われたのは10年目にして初めてだった。そういった意味で「珍しく」と打ってはみたが、友人が大義の意味の友人を指してしまうかもと思い、迷ってしまいハテナを打ってしまった。その友人の目当ては、[Alexandros]のインスパイアソングだったが、悲しいことに劇場で流れることはなかった。

2.言いたいこと

これから本作品を観賞して、心に残った2点について書こうと思う。
ただ、作品としてはどちらかに寄せ切っても良かったのではないかと思ってしまう気持ちもあった。特に、前半で抱いた得体のわからない悪意が主人公に迫る描写による張り詰めていた私の感情は後半の銃撃戦ではなくなってしまった。どちらかだけではストーリーがまとまらなかったと言われたらそれまでだが。

①.得体の知れないものが与える恐怖

映像作品において受けて側に恐怖感情を抱かせる方法はいくつかあるが、大きく分けて「ストーリーテリング」と「演出効果」、「直接的」と「間接的」の2軸による4分類になると思う。多くの人が思っていることだと思うが、「直接的」に比べて「間接的」なことの方が怖く感じると考える。何が自分の身に迫っているか正体がわからないことの方が怖い。
本作品の前半部分では、主人公が憶測でしかないが何かが自分に悪意を向けていることを感じながら生活をしている。背後に迫る影、今まで関わってきた人からの今までと違う視線、家に投げ込まれる不審物、、まさに「間接的」な恐怖感情を抱かせる描写が鋭く表現されていた。それらにより、鑑賞者は張り詰めた緊張感による恐怖感情を抱かずにはいられず、非日常な体験を本作品に与えてもらえる。

②.殺しの才能に目覚める主人公への高揚感

前半と打って変わって後半は、銃撃戦による殺し合いが始まる。先ほどまでの得体の知れない恐怖はなくなるが、代わりに主人公の殺しの才能が目覚めていく姿にいつの間にか私は高揚感を抱いていた。殺しに怯えていた主人公が徐々に麻痺していき(順応していき)、冷徹さを帯びていく。菅田将暉の顔つき、声色が変化していく演技に惹き込まれていった。できなかった主人公がいつの間にか強者になり無双する展開はよくある展開だが、コンパクトに表現し切っていた印象を持った。

ワンシーンのみ出演の松重豊は一体いくらいただけるのかちょっと気になっているが、それではまた!

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