『群衆』…心象散文
1.
街を歩いている。何かの群れが流れてゆく。顔のようなものがついているようだが、なんだかよくわからない。
彼らは両手に四角い箱を抱えていて、その中の一人がわたしを見つけると、カクカクした微妙な笑みを浮かべながら、進行方向から逸れて、こちらへとやってくる。
『サァ、アナタ、アナタモコノ箱ヲオ持チナサイ。コノ箱サエアレバ安心デス。素晴ラシイコトダ…。アァ、イイデスヨ、コレハ…。サァ、アナタモ早ク…』
うわぁ―————————————!!!!!!!!!!
うわぁ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!
わたしは反射的に脱兎のごとくそれを振り切って走り出す。
『ドウシタノデス………輝カシイ人生ガ………』
勘弁してくれ!!!
あの箱を見ただけで、猛烈な恐怖が本能的にこみあげてくる。
『輝カシイ人生ガ………』
*
2.
街を歩いている。何かの群れが流れてゆく。
彼らは両手に四角い箱を抱えていて、その中の一人がわたしを見つけると、カクカクした微妙な笑みを浮かべながら、進行方向から逸れて、ひたひたとこちらへやってくる。
『サァ、アナタ、アナタモコノ箱ヲオ持チナサイ。コノ箱サエアレバ安心デス。素晴ラシイコトダ…。サァ、アナタモ早ク…輝カシイ人生ガ………』
…………………………。
わたしは四角い箱をじっと見る。そして彼?をじっと見て問いかける。
あなたの言う輝かしい人生とは、なんだ?
あなたの言う安心とは、なんだ?
おしえてくれないか。
その箱をわたしに差し出すのは、やめてくれないか。
二部作でした!
これも過去に書いたものです。(挿絵はさっき描きました🖌️)
様々な人間がいる。
これは至極当然のことであり、したがって“人間”という枠で一律に処理するのは不適当な場合があるのも当然である。
例えば大衆が好みやすそうな食べ物であっても、食べたくない人間もいて、それを、自分が好きで且つ大衆に好まれそうだからといって、食べたくない者に「美味しいんだから食べなよ」と口に詰め込もうとする行為は、それが善意であっても暴力に等しいのでは?
他人は、自己有用感を満たすために存在しているわけでもないですからね。
己のために生きて何が悪いと思っているのもこれを書いた当時と変わりませんが、ここへきてふと考えるに、その裏テーマは、独善ではない本当の利他とは…を考え続けることなのかもしれないな…と。
※記念記事は、これからトップ画を仕込みます笑