百瀬さんのこと その九
別に自粛していたわけではないが、ここのところ〝女ネタ〟で原稿を書いていない。今日は少しエロチックな話を書く。百瀬さん(百瀬博教・作家、不良。10年前に死亡)と作りかけだった本の話。
不良の美術館。百瀬さんとは何冊も本を作ったが、「シオザワ、もう一冊、本を作ろうぜ」といわれて作っていたのがこの本。
編集コンセプトは[オレが気になるアート]だったが、百瀬さんが集めてきたのは、〝女とセックス〟に関係している材料ばかりだった。オレが「女の話ばかりですね」というと、「いいんだよ、シオザワ。男の人生の本質は〝女〟だよ」と吉本隆明みたいなことを言った。それで作ったのだが、未完成で、ちゃんと出来上がる前に、百瀬さんは夜中に風呂に入っている最中、心臓発作を起こして気を失い、そのまま死んでしまった。未刊に終わった本である。
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