#27 書評・"Miriam" by Truman Capote
ぼくは、明るい物語を読むことができない。詳しく言えば、読んでいても面白いと感じても感動したりすることが少ない。暗いアンダートーンを含み、人間の非合理性や狂気、疎外や妄執を扱ったような作品に、よりリアリティを感じる。それは自分の内面が共感したがっているのかもしれない。たとえば家族での幸福や恋愛を扱ったような求心的ともいえる物語より、ディストピアやある種の狂気を扱ったような題材から遠心的に描かれる物語の方が、ぼくという主体が接近しやすいのだ。内向的な語り手のほうが、読みやすいと