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I et.al.
2021年8月30日 22:46
しんと冴えた神経が、部屋の隅の異音を拾い、外をはしる車のフロントライトが一瞬照らした部屋の壁面を認識する。どこへも行けない魂が、塔の最上階にある部屋にとらわれているイメージが浮かび、僕はそれを僕の肉体に投げる。脳という小部屋に閉じ込められた僕のひそやかな思考。躰の枠を出て思考だけになる夢の世界に行きたいと思う。夢が現実に対してでなく、現実が夢に対して優位を持つ世界のシステムがやはり憎い。 か
2021年8月1日 19:02
東京は、ふたつ在る。 直感が頬をかすめる瞬間。地熱発電かと紛うアスファルトの熱の上で、外国人たちが走ったり、泳いだりするのをビジョンに見る。それは苛烈にも、ギリシア神話の太陽のイメージに重なりながら、液晶の中で行われる栄光の祭典たるTOKYOだった。それは私には「存在しないもの」のようにも、はたまた隣にあるようにも感じられた。私は横断歩道を渡りながら、巨大なビジョンに映し出される躍動するアス