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CTとMRIって何が違うの?2022/04/11
・病院でよく分からん検査を受けるときにCTだのMRIだの言うじゃないですか。
機械に乗せられて精密検査するんだろうなーみたいなイメージだと思うんですけど。
・どっちも身体の中の写真を撮る検査なんだけど、違いを答えなさいと言われてもすんなり答えられる人はそうそう居ないと思う。
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見た目も似てるし。
ベッドとドーナッツ型の機械。
・今日は(日記に書くような出来事がないので)CTとMRIの違いでも書こうかね。
このnoteを読んでくれた貴方は、明日から周りの人よりもちょっぴり医療に詳しくなることでしょう。
これでも一応本職なんです。毎日MRIもCTも触ってるのでね。
ちなみに上の写真は左がCT、右側MRIです。
違い① 写真を作る原理
・まずCTの原理から。
CTはComputed Tomography(コンピューター断層撮影)という名前の略。
その名の通り、コンピューターで断層(身体の輪切りの写真)を撮れるんですね。
MRIもコンピューターで身体の輪切りを撮ってるんだけどね……
CTは放射線を使って写真を撮る。
みんな嫌いな放射線。正式にはX線。
イメージ的にはレントゲン撮影を立体的にした感じ。
X線は骨とかの固いものは通り抜けにくいので、出したX線が体を通ると骨の影が映るんですね。
それをぐるっと1周したデータをコンピューターで処理すると体をスライスした写真や3Dの写真が作れるんです。
あのトンネルの中にX線を出す機械と、対面にそれを受け取るフィルムが入ってて一緒に高速で回ってるんです。
1回転0.5秒くらいのスピードであの大きさの機械が回ってる。
影絵を色んな方向から見ると元の形がなんとなく想像出来るでしょ?あれと一緒。
ちなみに放射線はほとんど身体に影響がない量で撮影できます。
飛行機に乗ってアメリカに行くのと同じくらいの被曝量らしい。
ほとんど気にする程じゃないし、微量の放射線を浴びるデメリットよりも目の前の病気が分かる方のメリットの方が大きいでしょ?
(胎児は放射線の影響を受けやすいので妊娠中の方は申し出てください。必ず。)
・次にMRIの原理。
これがね……。説明がめちゃくちゃしにくいんだよね……。
ちなみにMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略です。は???
簡単に言うと、磁石と電波の力で身体から電磁波を出させて、それをキャッチして写真を作るという原理。
言っても伝わらないのは分かるんだよ。
でもこれが1番シンプルなんだよ……。
中学校で磁石をコイルに近付けたり遠ざけたりすると電流が生まれるって習ったでしょ?(誘導電流)
その磁石の代わりに、身体の中の水素原子の向きを揃えたりバラけさせたりしてるんです。
考えた人はマジで頭おかしい。
ちなみにMRIに使う磁力と電磁波はほとんど体に影響がないと言われてる。
磁石持ってても体調変わらないでしょ?
なんなら磁気ネックレスつけてる人多いし。
電磁波もラジオの電波と同じくらいの強さなので影響はほぼありません。
・色々書いたけど、とにかくCTは放射線、MRIは磁石とだけ覚えてもらえば。
違い② 検査の目的
・CTとMRIどっちが良いとかそういうのは無く、基本的には疑わしい病気がよりわかりやすい方の検査を行う。
例えば転んで頭をうった人を検査する場合、骨の状態を調べるにはMRIよりもCTの方が分かりやすいのでCTの検査を行うことが多い。
ドクターの判断なので完全に怪我はCTとは言えないけど。
心臓の検査はCTの方が多かったり、膝とか肩はMRIだったり、部位とか疑う病気によってどっちの検査か決まる。
ちゃんと医師免許を持ったドクターが適切な検査を選んでくれるので、一般人が「MRIがいい!MRIやってくれ!」と医者に伝えても基本的には要望は通りません。
あまりにもうるさかったら安心させるために無意味に検査することはあるけど。
・もちろん写真もかなり違う。
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これは頭のCTの写真。
骨が白く映るのがCTの特徴。
頭蓋骨が真っ白に写ってるでしょ。
右下のモヤッとした白いところは脳内出血。
高血圧とか動脈硬化とかあったんじゃないですかね。
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これがMRI(T2強調画像)。
頭蓋骨のところが黒く抜けてるでしょ?
(1番外側の白いところは皮膚とか)
ちなみに正常の頭。
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こんな感じでMRIは色んな種類の写真を撮ってそれぞれ見比べて診断してます。
この種類の写真で白く写って、こっちの写真では黒いから脳梗塞だ!みたいな。
面白いでしょ?
違い③検査時間
・CTは場所や検査内容にもよるけど3分くらい。
MRIは短くても10分以上かかる。
・CTはやることが少なくて、
1.ベッドに寝る
2.撮影範囲を決める
3.撮影(10~30秒)
ってだけ。
まあ裏で色々設定とかしてるので待機時間がけっこう長いけど。
思ったよりも早いので患者がビックリしがち。
・MRIは20分+α。
そもそも検査前の金属確認が長い。
というのも身体から出る微弱な電磁波で写真を作るので、金属があると写真が写らなくなるんですよね。
それに意味わからんくらい強い磁石なので物がぶっ飛んだりぶっ壊れたり。
で、上の画像にもある通りMRIは何種類も同じ場所の写真を撮るので検査が長いんです。
1.ベッドに寝る
2.撮影範囲を決める
3.写真Aを撮影(5分)
写真Bを撮影(2分)
写真Cを撮影(2分)
写真Dを撮影(3分)
写真Eを撮影(3分)
写真Fを……
……
しかも体を動かしちゃったらやり直し。
ほんと動くんじゃねえぞ。
それに加えてMRIはどうしても爆音が鳴る。
耳元で映画館のブザーならされてるような音がするので、子供とか認知症の人とか閉所恐怖症の人はマジで苦手だと思う。
いかがでしたか?
CTとMRIの違いは、
①CTは放射線、MRIは磁石
②検査の目的によって使い分ける
③早い方がCT、長くてうるさいのがMRI
と覚えてくださいね。
他にも病院の検査でご質問があれば答えられる範囲で答えるのでコメントに投げといて下さい。