高速道路をぶっ飛ばし、母は武装隊となってやっと公園デビューできた話。
公園デビューというと、わが子を初めて連れてベビーカーなんかで近所の公園で出かけるイメージでしょう。わたしも例外ではなく、そんな未来を想像していました。
まさか、そこに行き着くまで高速道路を利用する現実があるなんて。そして、お出かけ自体が初めてがゆえに心配が膨らんで、あれもこれもと準備するものが増え、最後には武装隊化してデビューするなんて……。
というのも、わたしが住むのは、車社会といわれるアメリカです。近所にこどもを安心して遊ばせられる場所は徒歩圏内にはない立地に住んでいます。
ですが、運転免許を未習得のわたしでも歩いて行ける生活環境は整っています。
スーパーが数件、ドーナツ屋さん、郵便局、銀行、スターバックス、サーティンワンアイスクリームなど種類は色々です。いわいる郊外やけど、アパートの周りはわりと栄えている感じ。
でも、やっぱり車社会ではあるので、歩道も1人歩くのがやっとの細さです。歩いているすぐ横は4車線、車が猛スピードでビュンビュン走るようなところです。
こんなところをベビーカーを押して歩道を歩くことすら、怖くてビビリあがってしまいます。
ーーー
まして世間はパンデミックの真っ最中で、人との距離もできるだけ離れた自然豊かな場所となると、高速道路をぶっ飛ばしていく必要があるわけです。
そして、いくら屋外とはいえ、感染対策にやりすぎはありません。夫婦でワクチン接種を済ませ、マスクは2重で出陣です。
これまで、息子が誕生して1年間は引きこもり生活でしたので、ベビーカーは購入していましたが未だに家の中での使用のみ。汚したくない……。
「車で行くし、最初やからそんな遠くまで行かへんから、抱っこ紐でええか。」
「紫外線対策で日傘も持っとこ!今日はヒヤッとするから薄手のジャンパーも」
「着替えとタオル、ほんでお水……」
今日は少し芝生の上を歩かせて、外の風を浴びさせるのが目的なはず。
用意した荷物の量は「2泊3日ですか?」とじぶんでも聞きたくなるレベルに大荷物になりました。
ドライブ自体普段の小児科の検診以来なので、息子はチャイルドシートに乗って外の景色を眺めるだけでご機嫌そのもの!
まだまだ何を言ってるかわかりませんが、動く景色を一生懸命目で追って夢中でお話してくれてます。
ーーー
高速道路をぶっ飛ばすこと15分。目的は息子を公園デビューさせるのに……です。
到着したわたしは、すぐさま持ち物確認。
息子に日焼け止めオッケー!
もしもの時に、抱っこ紐、手には日傘、
水筒は要るかな?オムツは?着替えの服どうしよ?
目的は芝生の上で自然を体験させて少しの間遊ばせるだけなのに、
あらゆる状況を想定して「いる ?いらん?」「今?あとで?」
車やし、必要なら戻ってこよ!
ひたすら自分で2択を繰り返していきます。
よし、準備オッケー!と
駐車場に止めた車反射して写ったわたしの姿は、
まさに武装隊……。
防弾チョッキ如しの無人の抱っこ紐に水筒をたすき掛けです。
片手に日傘を握り、
おまけに顔面はサングラスにマスク2重です。
右手には記念撮影の瞬間を見逃してなるか!!とスマホを構えいつでもスタンバイ!!
思ってたんと違う。違いすぎるよ。
結局「親子で公園デビュー」という記念すべきイベントなはずが、流石にわたしは一緒に写る気になれませんでした。
初めての芝生、初めてのたんぽぽ、初めての葉っぱたちを堪能した息子の瞬間を必死にカメラに収めること50枚以上。
他人様から見たら違いのわからない同じ様な写真ばっかりの連続になりました。
それでも、いつもの家の中では見られない、息子のキラキラした笑顔を撮れて、自画自賛の親バカ炸裂です。
想像していた公園デビューとはちょっと違ったものにはなりましたが、世の中の親御さんたちも、きっと同じ様な思いをされてるんだなあと思いを馳せ、尊敬の念でいっぱいです。
わが子のためなら、まさかの武装隊に変身までできてしまうもんやなと思う出来事でした。
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