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死霊のはらわた 映画レビュー

ホラー映画の中でもなかなかに怖い作品でしたので、レビューをしてみます。

※「死霊のはらわた」シリーズは初めての鑑賞作品のため、シリーズとしての立ち位置に関する評価ではなく、映画単体としてのレビューになります。

概要

スタッフ
監督 : フェデ・アルバレス
製作 : サム・ライミ、 ブルース・キャンベル、ロブ・タパート
脚本 : フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
監修 : ディアブロ・コーディー
キャスト
ミア : ジェーン・レヴィ(水樹奈々)
デビッド : シャイロー・フェルナンデス(中村悠一)
オリビア : ジェシカ・ルーカス(佐藤利奈)
エリック : ルー・テイラー・プッチ(高木渉)
ナタリー : エリザベス・ブラックモア(戸松遥)
少女 : フェニックス・コノリー(阿澄佳奈)

https://www.sonypictures.jp/he/1160932
一部抜粋

吹き替え版の声優陣は非常に豪華だと話題になっていました。
また、製作や脚本に携わった「サム・ライミ」さんは、初代の「死霊のはらわた」(1981年)にも脚本・製作総指揮に携わっています。

あらすじ

ドラックの中毒症状を治すために山奥の山荘へ訪れた5人の若者の男女。そこで一人の男、デイビットが「死者の書」の封印を解き、声に出してはいけない呪文を唱えてしまう。
そして、そのとき外に出ていたミアは死霊に憑依され、だんだん異常な行動から猟奇的な仲間を殺める殺人を犯していく。
次々に死霊に憑依される若者たち。その現状を高いすべく、手をつくしていく。

評価点

・「わかっているのに怖い」クオリティーの高い恐怖演出
ここで記述している演出のクオリティーとは、「演者の演技」「カメラワークとアングル」「暗闇の使い方」等のことを指します。
ホラー映画では、わざと先読みさせながら恐怖感をあおり「恐怖対象が現れる」か「現れないか」の駆け引きが観客と映画の間に生じる手法があります。

この映画では、わざと先読みさせる手法が多様されています。
例えば序盤の山荘の気味悪さに我慢できなくなり、仲間からの共感されていないことに嫌気がさし、ミアが車に乗り出ていこうとするシーンでは、ホラー映画お決まりの密室から脱出できない謎の力作用により、ミアは死霊の厳格を見て急ハンドルを切り死霊に、沼地に車ごとダイブしてしまいその後に恐怖シーンが来ることはホラー映画好きであれば簡単に読めてしまう展開です。

ただ、「沼地」「周囲に誰もいない」「聞こえてくる姿は見えないけど自分の名前を呼ぶ仲間の声(その時のミアには幻聴か本物の声かわからない)」など、いかにも襲われそうな展開を作りながら、水の中で襲うという格好のシチュエーションを逃したことに一瞬意表を突かれますが畳み掛けるような、ミアを走って追わせるという恐怖演出とミアが捕まったときの姿を見せるというわかりやすい演出をしています。来ると思わせてこない、そして来て姿を見せるという手順を踏んでいます。

普通のホラー映画では展開がわかっていると「あーはいはい」と白けてしまう映画も多いのですが、例えば沼地から出て泳いで地上についたときに死霊と対面するシーンでは、顔を見せず、追いかけてミアを捕まえるときにやっと顔を見せるなどの、顔をいつ見せるかというタイミングもしっかりと手順を踏んでいるため、恐怖の手順を踏むという観客に何が起こったか、今写っているのはなにかという疑問を感じさせずにすんなりと恐怖することができる土台を用意しているからこそ、わかっているけど怖いという演出が成立しているのだと思います。

・キャラクターへの程よい感情移入ができる
若者が陸の孤島で襲われるという演出はよくありますが、キャラクターの特性をうざったく感じない程度にちょうどよく、特徴を把握しそしてキャラの成長要素も取り込むことで、観客を引き付けている脚本の流れはよくできていると思います。

・ストーリーのわかりやすさとシンプルさ
本作は、山荘で若者たちが不気味な悪霊に女の子が憑依され、次々と仲間が殺されているというありがちだがわかりやすいシチュエーションです。
恐怖や目をしかめたくなるようなグロ演出で勝負することにより、すんなりと今何が起きているのかということを頭の中で整理せずに楽しむことができるのは、シンプルさという意味でも評価できるポイントです。

微妙な点

・死霊の謎が中途半端(※ラストネタバレあり)
あの死霊の正体や過去のストーリーが明かされる結局何だったのという感は残ります。
すべてを明かしすぎると、せっかくの悪霊なので、得体のしれなさによる恐怖というのはなくなってしまいますが、ラストシーンでミアが死霊と物理的に戦った後も結局死霊の行動原理は謎が多く残されています。

「死者の書」というわかりやすいアイテムを序盤に登場させたので、それを使ってなにかしたり、現状を打開する鍵となるというのは少しゲーム的な発送でしょうか?
最後になにか大きな伏線があるとより評価が上がったなと、欲張りですが、ちょっと残念に感じた部分です。


色々と書きましたが、本作は映画の多くの不満点を潰し、純粋に恐怖や気味悪さと体感できる良質なホラーだと思います。
オリジナルも見てみると印象が変わるかもしれないので、いずれはシリーズの立ち位置という観点も含めたレビューを書いてみたいです。

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