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冒険の森・伴戸 忠三郎さん「LOGINのはじまりの 器 」

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写真 PCの前に座るのが伴戸さん
  • 森への関心を広げる

  • 事業をつくり、景色をつくる

● 森への関心を広げる 
もともと、結婚式場や中華料理屋の経営をしていたという伴戸さん。その後2011年に「株式会社 冒険の森」を立ち上げた。レジャー施設の開発と運営、遊びを通じた教育・健康プログラムの提供、森林保全活用を行っている会社だ。現在は全国11カ所の森林に関わる。春〜秋にかけてはレジャー施設の運営、冬の間は森林整備と施設点検、新施設の開発を行っている。モットーは、「森の楽しさを価値にする」こと。その過程で、来場者・地域・自然・働く人、それぞれの笑顔を生み出すことを目指している。こうした一連の取り組みを「放置された森林を笑顔で満たすプロジェクト」と名付け、事業で生まれた収益を使って森林整備を行う仕組みを実践してきた。森に雇用と収益を生み出し、皆で森の未来を考えながら森林の保全活用を行うスタイルだ。また伴戸さんの特異な点は、森林だけではなく都市公園にも関わること。都市という人口が多い場所の方が、多くの人が森の楽しさを伝えるきっかけになりやすいからだという。そうして都市公園でのプログラムをきっかけに森林の楽しみ方を知った人たちには、実際に地方の森への訪問を誘導する。そうして都市と地方の森で得た収益で森の基盤整備をしていくサイクルが構築されている。

● 事業をつくり、景色をつくる
「レジャー施設としての森林活用は、林業地(純粋な自然資本)としてこれまで活用されづらかった森林が、むしろ都市からアクセスが良いという理由で重宝される可能性を秘めていると思います」と伴戸さんは話す。素材生産を中心とした林業地としての可能性と、空間を活用したレジャー施設としての可能性の両方向に、これからの森林活用の活路を見出しているという。
つまり、ここあうる京北の森は京都の街中から車で40分の立地なので、かつてのような高級丸太での需要は今後想像しづらくても、レジャー施設として十分な可能性を秘めているということになる。実際に伴戸さんはすでに事業計画を始めており、あうる京北の宿泊施設とも連携したツーリズムの開発や、広場での遊具制作ワークショップを行っている。ここで計画の内容を、一部ご紹介いただいた。

  • ツリートップアドベンチャー、オートキャンプ場(区画を事前に用意せずロープだけ渡す形式)、プライベートドッグラン付テント、ハンモックキャンプ、BBQサイト、受付、汲み取りトイレ、などを整備予定

  • 現状では、年間1.2万人の来場を想定しているが、早急にこれらを整備し、より多くの来客を可能にしたい

こうした伴戸さんの一連の視点は、まるでランドスケープデザイナーのようなもの。森の中にも広場にも、一体的に人の動線や滞留を生み出していく。それは事業であり、同時に景色をつくっている。
こうして冒険の森が早々にスタートすれば、LOGINがはじまる時に人々を受け入れる器として機能し、以降は今回の合宿参加者にはじまる多くの人たちと成長して育てていけるものになるだろう。

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書き手:中井希衣子

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