著者が語る:パラドックス!
ニュートン別冊の「パラドックス」シリーズには、最初の書籍が編集された段階から、ずっと関わってきた。以下に、ご紹介しよう。
1.『数学パズル論理パラドックス』
2011年発行の本書は、次の4つのセクションで構成されている。私は「4 パラドックスに挑戦」の「取材協力」を担当した。
目次
1 図形パズルに挑戦
2 計算・論理パズルに挑戦
3 確率パズルに挑戦
4 パラドックスに挑戦
オルバースのパラドックス/アキレスとカメ/シュレーディンガーのネコ/クレタ人のうそつきパラドックス/「2=1」の“証明”?/ヒルベルトの無限ホテ ル/協力と裏切りのジレンマ/ニューカムのパラドックス/抜き打ちテストのパラドックス/双子のパラドックス/投票のパラドックス1~2/ヘンペルのカラ ス
2.『絵解きパラドックス』
2014年発行の本書では「監修」を担当し、すべてのパラドックスを検討した。シリーズの中では最も苦労したが、最も達成感のある仕事だった。
こちらは『絵解きパラドックス』の電子書籍版。
3.『パラドックス大百科』
2019年発行の本書でも「監修」を担当し、『絵解きパラドックス』に新たな記事を加えて構成したすべてのパラドックスを検討した。論理学、哲学、数学、物理学、天文学など幅広いジャンルにわたる約50のパラドックスを実例を交えながらわかりやすく解説するという意欲作で、現時点ではシリーズの中で最も完成度の高い書籍である。
目次
1 合理性のパラドックス
囚人のジレンマ
ニューカムのパラドックス
投票のパラドックス
アビリーンのパラドックス
倹約のパラドックス
ギッフェン・パラドックス
功利主義のジレンマ
トロッコ問題
2 曖昧性のパラドックス
抜き打ちテストのパラドックス
砂山のパラドックス
テセウスの船
全能のパラドックス
ヘンペルのカラス
スマリヤンのパラドックス
3 自己言及のパラドックス
うそつきのパラドックス
天国への道のパラドックス
ワニのジレンマ
ラッセルのパラドックス
プロタゴラスのパラドックス
ベリーのパラドックス
リシャールのパラドックス
その他の自己言及のパラドックス
相互言及のパラドックス
自意識のパラドックス
4 確率のパラドックス
ギャンブラーの誤謬
子猫のパラドックス
誕生日のパラドックス
ベルトランの箱
3囚人のジレンマ
モンティ・ホール・ジレンマ
サンクトペテルブルクのパラドックス
シンプソンのパラドックス
交換のパラドックス
5 宇宙のパラドックス
オルバースのパラドックス
ゼーリガーのパラドックス
フェルミのパラドックス
人間原理
6 物理のパラドックス
双子のパラドックス
シュレーディンガーのネコ
タイムパラドックス
EPRパラドックス
7 無限のパラドックス
「2=1」の“証明”?
ゼノンのパラドックス
ガリレオのパラドックス
ヒルベルトの無限ホテル
トムソンのランプ
目次だけでは味気ないので、少しだけ本文から抜粋しよう! 次に挙げるのは、いわゆる「トロッコ問題」の応用で、最近開発された「自動運転車」に「功利主義的判断」を単純にプログラムしてよいのかを検討するために、私が創作したケース・スタディである。
トロッコ問題[抜粋]
交通ルールにしたがった2人を犠牲にして、ルールを守らなかった5人を助ける選択は正しいのか?
ブレーキのきかなくなった自動運転車が走る道路の先に、5人の子供たちが交通ルールを無視して飛びだしてきた。子供たちを助けるために道路を変更したいが、その変更する進路の先には、きちんと交通ルールを守って横断歩道を渡る老人たちがいる。ただし、2人だ。
助かる命の数で功利の総和を計算すると、当然、2人の人間の命を犠牲にして5人を助けたほうが総和は大きくなる。しかし自動運転車が、交通ルールを守らなかった5人の人間を助けるために、ルールにしたがっていた2人の人間を犠牲にするという選択は、道徳的に正しいといってよいものなのだろうか。
4.『パラドックス大百科』のライト版3冊
『パラドックス大百科』の内容を大きく3分割したライト版も、2019年に続々と発行された。「論理編」・「数学編」・「物理編」なので、特定分野のパラドックスだけに興味のある読者にとっては、便利かもしれない。
とはいえ、仮に「ライト版」を3冊購入すると、本体の『パラドックス大百科』の定価をかなり上回るので、正直なところ『パラドックス大百科』1冊を購入する方が圧倒的にお買得だと思う(笑)。
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