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ノベル学園祭
2024年6月22日 15:57
夕日の光が差す車内に流れる、ラジオのゆったりとしたテンポが、私の不安を和らげる。彼が心配そうな表情で、助手席の私を覗き込んだ。「少しは、落ち着いたかな……?」 私はこくりと頷いた。それでも怖かった。急に声をかけられた不安から解放されたけれど、声が出ない。忘れようとしても、休憩スペースでの出来事がフラッシュバックする。「怖かった……!」 私は、声を何とか絞り出すので精いっぱいだった。その後
2024年6月22日 14:33
ただただ怖かった。彼氏よりも背の高い男の人に腕を掴まれるなんて、急な出来事だったから。彼に手を掴まれて逃げて少し、やっと喉がきつく震え始めた。寒いはずなのに、缶よりも温かいその手と頭の先から喉までの一直線が酷い風邪の様だった。 「ここまで来れば大丈夫でしょ」 息切れと恐怖であがった呼吸から、視界の端も耳もぼやけている。彼のその言葉も私には遠かった。 「大丈夫?」 何も返事出来なかった。彼