~絆《むすぶ》~ 4 イラスト 穂積小夜さん 小説 鈴木智弥
「ねぇ、ゆいどうしたの?ぼうっとして」
あの喧嘩のことを思い出していた私は、ついぼうっとしてしまい、音の問いかけを数回、無視してしまっていた。
「あ、ううん。なんでも………」
音と二人の帰り道。それは今までと同じ。ただ二人でたわいのない会話で笑って、難しいことなんてなにも考えずに、ただ音といられることが嬉しくって。
でも、どうしても喧嘩してしまったあの時から心にはもやがかかってしまう。口では嬉しいと言うし、実際にこの心も音のことをちゃんと好きだ。そのもやもやの理由が何なのかは