『激安ニッポン』を読んで学んだこと

 日本のモノやサービスはめっちゃ安い。そして外国人は日本のモノ・サービス・不動産・福祉・農地・森林を買い漁ろうとしている!日本の現状を、世界各国で働いたことのある筆者の目で訴えている本です。


本書の内容

 本書は統計データや、モノ・サービスの実際の値段から「日本の安さ」を示し、日本がどんどん衰退していく危機感を示した本である。 筆者は世界各国での就労経験があり、外側から見た日本の現状を客観的に見ている。飲食・不動産・教育費・給料の安さ。そして日本に来る外国人の目当ては、モノやサービスだけではない。不動産や農地、森林、福祉、金融市場も外国人に買われようとしている。このままでは日本は衰退の一途を辿ると筆者は警告する。

覚えておきたい3つのポイント

 本書を読んで、心に残った言葉、これは勉強になるな、と思った言葉を3つ紹介します。

【1】日本の物価は世界41位(2022年時点のビックマック指数より)
 ビックマック指数は、各国のマクドナルドで販売されているビックマックの値段を比較して、為替レートや物価水準などを把握するための指標です。この指標によると日本の物価は中国、韓国、タイよりも低いらしい。
(2024年では日本の順位は44位になってます)

【2】国民健康保険は海外で受けた治療にも保険が適用される
 これは知りませんでした。とても実用的な知識で、海外旅行の際の豆知識として覚えておくと良いかもしれません。

【3】世界競争力34位
 スイスのビジネススクール「IMD」が発表する世界競争力ランキングで日本は34位。このランキングはGDPや政治、社会、文化、インフラ、社会制度などを総合的に判断して競争力の順位づけを行なっています。日本のこの順位はタイや韓国よりも低い順位になっています。
(2024年の日本の順位は38位。これは韓国、タイ、インドネシア、中国よりも低い順位

IMD 世界競争力ランキング 2024 

本書を読んだ感想

 世界競争力が38位(2024年時点)で韓国、タイ、インドネシアよりも低い事実が衝撃的でした。もうアジアの中でも3本指にすら入らないんですね…。こういうのをテレビのニュースで知りたいですよね。

 日本は質の高いサービスやモノを売ってるのに、その値段がとにかく安いです。そして安いのはサービスやモノだけでありません。不動産、農地、福祉、森林も同様に安い。これらが外国人に買い尽くされようとしています。日本政府はこれらの資産が海外へ過剰に流出することを防ぐ制度を作るべきですが、現状は外国人に有利な制度になっています。
 youtubeで日本の権力者はアメリカ、中国、あと何たらって言っていました。これを聞いた時は、「そんなことないでしょ?知らんけど」って思ってましたが、本書を読んだ今はそれがわかるような気がします。なぜなら、日本の資産が海外に流れるような国の政策が沢山あるし、現在進行形で作られているからです。海外の人が得をするような政策があるってことは、日本の権力者は海外にいる、という話は筋が通っている気がします。

 本書についてここは物申したいなと思う箇所がありました。
 それは日本の貧しさの具体例としてリサイクルショップや100円ショップを上げていたこと。100円ショップに関して、筆者の言い分もわかるし、私も100円ショップは日本が貧乏である象徴だと思っていた時期もありました。でも節制は日本人の美徳とされています。日本人が貧乏になったから、100円ショップの利用者数が増えた、という理屈は違うと私は考えます。リサイクルショップにしてもそうです。資源の乏しい島国である日本は、昔からモノを大切に扱ってきました。穴の空いた服は繕って、それでもボロボロになった服はバッグにして、それでもダメになったら雑巾にする。割れた皿を修復する技術は「金継ぎ」と呼ばれ、伝統工芸品として芸術にまでに発展しました。節制もリサイクルも小さい島国である日本で生き抜いた先人の知恵だと思うし、日本人の固有の価値観は大切にしたいと私は思うわけです。まぁ、資本主義で考えれば悪なのでしょうが。

 日本が安くなり衰退することは、いうほど悪いことではないのではないでしょうか。私なんかはそう思うわけです。
 もちろん、日本が外国に売られ、日本が日本では無くなってしまうことは問題です。でも、日本が日本らしくいられて、自分たちの資産を、文化を、領土を、生活を守れて、幸せでいられるなら衰退することは悪いことではないのかもしれないと思うのです。日本は小さい島国です。しかも国土の7割は山です。今までが大きな国になりすぎていたのかもしれません。
 そんなことを考えさせてくれた本でした。

 ぜひ本書を手にとって、読んでみてください。


本書の基本情報

【題 名】激安ニッポン
【作 者】谷本真由美
【出版社】マガジンハウス新書
【発売日】2023年7月27日

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